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無名バンドによるアメリカツアーの方法と記録 "Rock, Faith, Anime 2009" (インディーズバンド、海外ツアー、アメリカツアー、方法、やり方)
その7 Nashville, TN 4月10日
前日のLittle Rockのショウが、ビデオカメラのみならず、オーディオレコーダーに関しても記録ができていなかったため、 僕は少し落ち込んでいたが、 とにもかくにも皆で元気にNashvilleへと出発した。 地獄の長距離ドライブだった前日と違い、この日の移動距離は、そんなに長くない。普通という感じだ。 普通といっても350マイル、日本の感覚だと十分に距離があるけれど。 この日、もしあわよくば、途中のMemphisで豪華なステーキレストランに寄ろうかという計画もあった。 というのは、出発前に、日本で、教会の友人であるA氏(アメリカ人)に、Texas de Brazilというレストランをすすめられたからだ。 Texas de Brazilは、その名の通り、テキサス州にもいくつかあるのだが、Dallasでは、スケジュール的に時間がなかった。 唯一のチャンスは、このMemphisにある支店にランチタイムで寄ることだが、 結局、ドライヴの時間や、お財布の加減など、旅路を急いだ方がいいということになり、 結局この日の食事は、ガソリンスタンドで調達したスナックだけだった気がする。
ときどき小雨が降ったりやんだりという天気だったが、ドライブはトラブルもなく非常に順調だった。 アーカンソーからテネシーに向かうアメリカらしい田舎道を快適に進む。 途中のMemphisでも実はライヴの誘いがあったのだけれど、スケジュール的に今回はパスせざるを得なかった。次回余裕があればぜひチャレンジしたい。Memphisといえばブルーズの都のひとつであるような気がするけれどどうだろうか。 エジプトっぽいその名のとおり、街の入り口に、ピラミッドの形をした建物が大きく見えた。 そして、これがミシシッピ川か。意外と、思ったよりは大きくないなー、と思った。 Memphisに関して今回覚えているのはそれだけだ。
ひとつ、ドライヴしていて意外に思ったのは、Tennesee州に入り、Nashvilleに近づいてくると、景色が、少し山がちになってきたことだ。山といっても、アメリカのでっかいなんとか山脈、みたいな高いやつではなくて、もう少し、日本の里山に近いような、なだらかで低く、緑に覆われた山々だ。アメリカ人の感覚だとこれくらいは山のうちに入らないかもしれないが、僕ら日本人から見ると、なんとなく日本を思い出させる、少し安心できる風景だ。 意外とNashvilleって、日本っぽい風土なのかもしれない、みたいなことを思った。 Tenneseeといえば、例のJack Daniel'sなど、ウイスキーの産地でもあるけれど、この山がちで、たとえば日本だったらやはりウイスキーの産地である大阪の山崎であるとか、あのあたりの印象に近い地形だった気がする。 ウイスキーの産地同士、共通点があるのだろうか。
実はナッシュビルは、カントリーミュージックの都として有名だけれど、もうひとつ、クリスチャンミュージックの都でもある。 いわゆるCCM、コンテンポラリー・クリスチャン・ミュージックのレーベルは、ほとんどこのナッシュビルに集中しているし、世界中のクリスチャン系のバンドが、この街に来てレコーディングやらなんやらやっているらしい。 つまりはクリスチャンにとってもちょっとした聖地なわけで、そんなクリスチャンミュージックの本拠地が、なんだか日本っぽい山がちな地形の中にあることに、ちょっとした感銘を受けた。
実際に、次の日にお会いしたブッチ牧師(ナッシュビルの隣町Chattanoogaに住んでいる)にそのことを話すと、ブッチ牧師は日本で青森の三沢基地で従軍牧師をしていたらしいのだけれど、この話に同意してくれて、日本は自分の故郷のChattanoogaと同じような景色地形だったので寂しくなかったと言っていた。
山がちな地形になった結果として、道路の脇には、地層をくりぬいて道路を作ったとおぼしき、地層のバームクーヘンが頻繁に現れるようになった。最初はおもしろいと思ったけれどあんまり出てくるのでそのうちなんとも思わなくなった。
そんな感じで、比較的順調な運転でNashvilleに到着した。 今回ブッキングしたハコは、ナッシュビルの中心地ではなく、少しはずれたところにある、ちょっとした商業施設みたいな敷地の中にあるバーだ。だから、結構田舎感のあるところで良い感じだった。Music City Bar and Grillというそのハコに到着すると、そこは、なんかもう映画の中に出てくるような、「アメリカの田舎町のさびれたバー」だった。薄暗い店内、ぼんやり光るジュークボックス、金髪のバーテンのねーちゃんに、夕方から無言で飲んでいる常連客たち。そのあんまりにも雰囲気そのままの情景に僕らは、軽いめまいを覚えると同時に軽く爆笑してしまったのだった。
ねーちゃんに話を聞くと、僕らは今夜は一番手だから、バンドのセッティングは勝手にやっちゃっていいと言う。PA機材はそこにあるはずだ、自分はわからないがそのうちわかる人間が来ると思う、とのこと。しかしどうやらPAのセッティングも基本的に自分たちでやらなければいけないようだ。望むところだ。
このいなたいバーの様子からして、演奏時にお客さんがたくさん来るはずもないと僕らはたかをくくっていて、なかばリラックスしてセッティングをはじめた。うちのバンドの優秀な技術屋であるところのジェイクの活躍によって、PAのセッティングも良い感じに、モニター環境も、今までやったどのハコよりも良い感じになった。やっぱり何事も自分たちでやるというのは良いことらしい。今までのハコのエンジニアさんたちは何やってたんだという気にもなるけれど。
この夜はいわゆるNo Cover(ミュージックチャージなし)のショウで、ギャラは出なかったけれど、食事は提供してもらった。ビールもタダだったと思う。 そのうちオーナーだかマネージャーだかみたいな人がやってきた。 開口一番、トルネードは大丈夫だったか、という。 おまえたちはトルネードの中を走ってきたんだ、という。 なんでも竜巻が発生して、被害が出ているらしい。 前日のLittle Rockでも、竜巻が発生しているという話は聞いていたので、 ああ、やっぱり、と思ったが、僕らのドライブはいたく快適だった。 被害に遭わなかったのは幸運だったかもしれない。
そんな感じで埃っぽいバーの中で準備をしていると、 とあるお客さんがやってきた。 Whisper Of The Gardenというシンガーさんと、そのマネージャーさんだった。 彼女は、インターネットで僕らのことを知り、交流があった。 実際に来てくれるとは思わなかったが、やはりクリスチャン系のシンガーであり、 共感を感じていた人だったので、会えてよかった。
しばらくするとまた別のお客さんが来てくれた。 彼の名はWakaisenshi君といい、友人を連れてきてくれた。 彼もインターネットを介して僕らのファンになってくれた人で、日本のアニメのファンだった。 僕らみたいな日本のバンドに興味を持ってくれる人としては、アニメやマンガが好きな人というのはよくあるパターンではあるが、こうしてショウに来てくれるのはとてもありがたいことだ。 それまでもメールでやりとりがあったりしたので、こうして実際に会えたことはうれしい出会いだった。 「今日は町外れでトルネードで被害が出ていて大変だったんだぜ、ボランティアで手伝いに行ってたんだ」 彼もそんなことをやはり言っていた。 もうひとつ嬉しいサプライズとして、Wakaisenshi君は、僕達に、手作りのTシャツを作ってきてくれていた。 彼の大好きな「るろうに剣心」のキャラクターに僕らをなぞらえて、絵が描いてある。 メンバー全員の分を用意してくれていた。 その手作りで心のこもったプレゼントに、僕らは素直に嬉しかった。 ライヴというのは、演奏者だけでなく、お客さんや、環境によっても作られるけれど、 こんなことをされたら良い演奏ができるに決まっている。 今日はこのバーの様子からして、お客さんはたくさんは来ないかもしれないけれど、 彼らのためにベストな演奏をしよう、そう思っていた。
しかしショウが始まる頃には、意外や意外、かなーりお客さんが入っていた。 実際、ローカルでリラックスしたこのバーは、結構居心地が良いようで、この日は金曜日ということもあり、夜になると人が集まってきた。まさに映画のような状態だった。ショウの後にオーナーは、天気がよければもっと客が来たはずだと言っていたけれど、初めてアメリカに来る僕らとしては十分だった。そしてそんな映画で見るような絵に描いたみたいなアメリカのローカルなバーで、ごきげんでにぎやかな連中をあいてに、間違いなくこの夜は最高の演奏をした。もちろんWakaisenshi君が作ってきてくれたTシャツを皆で着てステージに上がった。
この夜はすべてに追い風が吹いていたように思う。前日のLittle Rockでひとつ壁を乗り越えていたこともあり、精神的にも演奏的にも良い演奏ができた。お客さんの反応も最高だった。CDやTシャツの物販もかなりの部分が売れた。苦労が報われた夜だった。
またこの夜の演奏は動画をYouTubeやMySpaceにアップしてあると思う。 IMARi ToNES -Live at Music City Bar, Nashville TN
この夜の対バンのMoldingさんもなかなか面白かった。 風刺のきいたインディロックで、昔のREMを思い出すような感じだった。 イカした大人のロックとウィットの効いたサウンドに僕達もゴキゲンになった。
僕らは賞賛と握手と物販をたくさん浴びて、応援に来てくれたWakaisensi君やWhisperさんと話して、すぐ近くのモーテルに意気揚々と引き上げた。気分よく眠れたのは言うまでもない。
mixi日記記録 Nashville TN 2009年04月11日14:00 今夜のモーテルにはWi-Fiが無いので今のうちに書いておきたい。
April 10th, Nashville TN, Setlist 1.Winning Song 2.Iron Hammer 3.Changes! 4.i love you, now ur on your own 5.Only One Wish 6.Karma Flower 7.He's Still With Us 8.Illusions 9.Big World
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