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無名バンドによるアメリカツアーの方法と記録 "Rock, Faith, Anime 2009" (インディーズバンド、海外ツアー、アメリカツアー、方法、やり方)
その3 Dallas, TX 4月3日-6日
ケンさんは思ったとおりの人だった。 アクティヴで、いかにも強そうなキャリアウーマン的で。 ビジネスの第一線に居た時のことを思わせる、 物事をオーガナイズして効率的に処理する頭のよさと行動力、 わずかな押しの強さを伴ってとめどなくあふれるおしゃべり、 そしてパワフルなおばちゃんだった。(おばちゃん、という表現は、正確では、ないけれど。) そんな前向きなパワーの中心に、神さんを信じる強さを持ったケンさんは、 紛れも無く、テキサスの野原を駆けるカウボーイというかカウガールのようだった。
僕がケンさんを知ったのは、ケンさんが書いていたブログを通じてだった。 そこに書かれている、肩肘はらない自然体な信仰のスタイル、 自らが本気で生きている中で、人生の中で神様と本当に直でコミュニケートしているその様子が、 ブログの内容から見て取れた。 実際、およそ、宗教という言葉のイメージからはかけはなれた人だったし。 この人は、誰から言われたのでもなく、自分の人生の中でジーザスを見つけたのだと思った。
形や、通ってきた道は違うのかもしれないけれど、 この人は僕と似た信仰の形を持っている、と思った。 案外と、似たような道を歩いてジーザスに出会っているのかもしれない。
そう思ったからこそ、僕はダラスの教会ICCで、洗礼を受けることを選んだし、 このダラスの今回のツアーの出発地点に選んだ。
ケンさんは持ち前の明晰さと、非常に親身な態度で、 今回のツアーの、着想から、実行にいたるまで、応援してくれた。 そもそも、ケンさんが、「来ちゃいなよ」と、気軽に言ってくれたので、 「じゃあ行きます」と、軽いノリで本当に行くことになった。 もちろん準備は大変だったけれど、 ケンさんが居なければ今回のツアーは実現しなかった。 感謝という他ない。
教会に通うようになってこの時点で1年3ヶ月ほど。 実際は、それまでにいつでも洗礼を受けてもよかった。 しかし、私達が横浜で通っていた教会VICは、ユニークで比較的雰囲気がゆるく、 こだわらない部分が多いこと、 そして居場所の定まらないジプシー教会がゆえに、日常、洗礼用のバスタブがそもそも無いことなど、 いろいろあって、僕は、自然な形で機会が訪れた際に受洗すればいいと思っていた。
そして、このツアー、旅の中、信仰と音楽を探す旅、アメリカの地、テキサス、 どれもがring a bellをしていた。 自分の所属する教会で、とか、しきたりであるとか、こだわる人もいるだろうけれど、 そういうこともあって余計に、旅の中での洗礼というのは、僕にぴったりに思えた。 僕の信仰の形に、いちばん合っているように思えた。
芸術家気取りで生きることを決めてから、 生涯を放浪というか漂泊の中を生きて歩く覚悟と予感を決めていた。 その漂泊の中でこそ僕は神様の声を聞くことができた。 だから、いちばん自分らしくいちばん神様の近くにいられるさまよいの中でこそこの神様との結婚式をやろうと思った。
ダラス初日。 無事に入国のゲートを抜けて、ケンさんと対面。感激。 そしてケンさんのバンに乗って移動。 早くも皆、やたらとだだーっと広いダラスの街とテキサスな空間に圧倒と、自然な開放感を味わっていた。
Flower Moundという住宅街につき、ケンさんの家にお邪魔した。 ツアー中、どこへ行ってもそうだったが、土地の狭い日本とくらべて、住宅環境の違いは、仕方ないねー、とため息をつくほか無い。 玄関そばの音楽室に、あらかじめ注文し預かってもらっていた、僕らの機材、アンプ類、ドラムキットが置いてあった。 僕もはっしーも、すぐさま、アンプにプラグインし、テストする。 機材の項目にも書いたが、Peaveyのコストパフォーマンスを誇るフルチューブのギターアンプは、予想以上のクオリティと、自分の好みにぴったりのキャラクターで非常に驚いた。ベースアンプも同様に、予想以上のキャパシティを持っていた。 ジェイクは、ダラスのケンさんちにいる間、結局ドラムキットのチェックをしなかった。 キットを組み立てる手間を考えて、ライヴの日にくみ上げれば問題ないと考えているようだった。 しかし結果的に後で、それがトラブルにつながることになった。 すべてがきちんと準備された状態で与えられる日本の感覚に慣れすぎていることを思い知らされることになった。
ケンさんと一緒に、レンタカーの調達、ケンさんは、機材の多さを考え、予約していたよりもさらにわずかな金額を追加してさらに大きなバンに乗り換えることをアレンジしてくれた。ダラスでは、英語のやりとりは、かなりケンさんにやってもらったので、それも助かった。
携帯電話の入手。これもケンさんに面倒を見てもらった。 もちろん日本から持ってきた電話やiPhoneも使用できるが、日本の電話なので、基本的に、かけるときも受けるときも、国際電話の扱いになる。 それでは、こちらは良くとも、相手からかけるときにはかけづらく、頻繁な連絡やビジネス用途には適さない。 ケンさんに連れられて、MetroPCSのプリペイド、一ヶ月使い放題携帯を入手した。80ドルくらいだった。 また、アメリカ人は、連絡に際して、テキスト、いわゆるSMSを頻繁に使うため、その意味でもやはり現地の携帯は必要なものだった。 MetroPCSは、そんなに大手ではなく、都市圏では大体問題ないが、ハイウェイを走っていて、あまりつながらない地域があったのと、もともとテキサスの会社だからかもしれないが、シアトルではまったくサービス圏外でありつながらないという落とし穴があった。つまりアメリカ全土はカバーしていないと思う。だが全体的には、良いディールであろうと思った。
もうひとつ、びっくりしたのは、小切手のやりとりを想定して、チェックの口座を作ったことだ。これもケンさんの提案だが、大手銀行だったが、いろいろあって、なんとか作れてしまった。これは、先々、アメリカでの活動が増えてくるだろうことを考えて提案していただいたものだ。アメリカはカード社会であると同時に小切手社会だから、CDやマーチャンを売る際にもチェックで支払うお客さんがいるだろうということだったが、実際には、外国のバンドだからかもしれないが、ほとんど皆、現金で買っていった。教会で一度、チェック使える?と聞かれて、使えますよ、と答えたが、結局現金での支払いになった。
これらのものをすべて、ケンさんが教えてくれて、一緒に手続きをしてもらった。 ケンさんは、仕事柄、税金やら法律やらに詳しいようで、非常に頼りになって、感謝でいっぱいなのだが、 携帯電話ショップはもちろん、大手銀行でさえも、フランクで自然体で、話せばわかってくれるアメリカンな人々の環境に、早くも、ああテキサスに来たなあと感じていた。
ケンさんとは、メールやブログでやりとりをしていたこともあり、 もっと、信仰や、人生について、突っ込んで話をしたかった思いもある。 メールでは、日本酒を飲みながら朝まで話しましょうか、と言っていたし。 しかし、実際は、ダラスに滞在中も、準備にパーティーに教会にと忙しく、 また、もっと他に話すことがあった。 信仰について、神様との関係については、もうそれは、会って見れば一瞬でわかるものであった気がする。 それ以上、話す必要がなかったともいえるかもしれない。
ケンさんの家には、犬と猫が居た。 犬はレイシーちゃんと、猫はユキちゃん。 レイシーちゃんはおっきなラブラドールだけれど、とても人懐こくかわいいワンちゃんだった。 ユキちゃんは、インヴィジブル・キャット(透明ネコ)と呼ばれ、普段、家族でもめったに姿を見せないという変わったネコだそうだ。しかし、私達には、珍しいお客さんだからか、しょっちゅう姿を見せてくれて、寄ってくるわ甘えてくるわ食卓に上がるわ抱いて一緒に寝るわと、人懐こい一面を見せ、飼い主であるケンさんたちを驚かせた。ちょっと変わっていて、特別にかわいいネコちゃんだった。 ジェイクもはっしーも、やはりうちのメンバーというのはいつでも心優しい人間なので、いつでも、動物と、子供には、非常になつかれていた。ジェイクもはっしーも、ネコちゃんを抱いたまま寝てしまうというラブラブぶりだった。
ケンさんの家には、二人のお子さんがいた。双子で、10歳だったと思う。男の子と女の子だけれど、 非常に元気よく、のびのびと走り回っていて、テキサスの広々とした環境が、子供にとってどれほど良いものだろうと思い、なんだかうらやましくなった。子供たちとのふれあいも、非常に楽しいものだった。そして子供たちは手加減しないので、それなりにきつかった。
二日目の夕方には、ケンさんは、教会の牧師さんたちとその家族の方を家に招いて、僕達のためにパーティーをしてくれた。 1月に出会ったドラマーのKeithさんと、奥さんのAkiさんにも再会することができた。そして、洗礼のために毎週スカイプで話をしていたK牧師にもお会いすることができた。K牧師の息子さんのE牧師にも会うことができた。 ケンさんのご主人のオスカーさんが、バーベキュー用グリルでフィレ・ミニョンというのか、とにかく肉を焼いてくれた。 しかしこの日のハイライトは、その豪華な肉ではなく、ジェイクが即席で作ったケーキがかっさらっていった。 ジェイクは、横浜のVICのパーティーでも、お手製のケーキやワッフルで皆を驚かせたことがあった。さらに彼は、常に皿洗いであるとかそういった仕事を献身的に引き受ける、素晴らしい精神の持ち主だ。今回もそんな彼の精神が発揮され、またそのケーキの飾りつけのキレイさと出来栄えそして味に、皆が驚いた。もはや彼はJakeではなくCakeだ、という勢いだ。楽しいパーティーだった。音楽の話もできた。
また二日目は、自分たちのレンタカーで買出しに出かけた。 Guitar Centerにて楽器、弦などの足りないもの、またWal Martで日用品を買い込んだ。 Guitar Centerは今回の旅でも何箇所か寄ったが、正直、どこにでもあるチェーン店という印象で、便利ではあるが、あまり面白さはない。 Wal Martは、アメリカのスーパーマーケットの代名詞だと思うが、ジェイクとはっしーは、早くもアメリカでの買い物を満喫しているようだった。
しかし、どこへ行っても、日本ではKrispy Kremeのドーナツを買うために皆が行列をしているのだと言うと、驚くというよりもほとんど爆笑されるのであった。あんなのスーパーでも買えるじゃん、ということだった。
ツアー全般を通じて、こうして日本人の家庭にちょくちょくお世話になることができたので、要所要所で、お味噌汁であるとか、日本食にありつくことができて、ありがたかったかもしれない。
またこの二日目には、 機材をミニバンに積み込むという作業をした。 積み込むというか、アンプ類、ドラムセット、そしてスーツケース、楽器。 ほとんどパズルである。 しかし、ジェイクとはっしーの活躍によってばっちり積み込むことができた。 スリーピースのシンプルなバンドで良かったと心から思った。 5人編成だったりしたらこうはいかなかっただろう。 そして、盗難対策のため、カバーで隠すなどの処置も取ったのだった。
そういえば、この日は、朝イチで、犬の散歩に出かけたのだった。 なぜ犬の散歩かというと、ケンさんに、泊めてもらって、何から何までお世話になっている、 せめてものお返しである。 ケンさんが仕事に行っている午前中の間に、犬をつれて近所を皆で散歩した。 しかし、なんというきれいな住宅街なんだ。 緑でいっぱい、そして広い。 ドイツに行ったときも思ったが、どうしてこんなに日本と違うかね。あたりまえか。 そして、一家に一台、まちがいなくバスケットゴール。 新聞が、ポストではなく、庭先に放り投げられているのは、日本人の感覚からすると軽くびっくりするものがある。
三日目は、日曜日。待ちに待った教会の日であり、洗礼を受ける日だ。 そして、アメリカで初めてのバンドでの人前で演奏する日でもあった。 教会の広い建物に入り、正午から簡単なリハーサルをする。 教会で演奏する際には、いつも音量の問題がある。 Hillsong Unitedなどの、ロック系のワーシップソングを演奏する教会、ドラムを演奏する教会では、 多くの場合、ドラムセットが、音量を抑えるためのアクリル板の中に入っているのを見かけると思う。
ICCは、会場こそ、他教会の建物を借りているが、 日本人教会としては、アメリカ各地にあるものの中でも、かなりユニークかつうまくいっている教会なのではないかと思う。 宗派の話はややこしいが、そういった宗派の考え方においても、僕達が横浜でお世話になっているVICと非常に近く、 また、偶然にもそういった教会と知り合えたことにも神様の導きと必然を感じる。
演奏をする前に、私と嫁さんで、証(Testimony)、つまりはお話をさせてもらった。 どういう話をしたか、大体覚えているので書き留めておきたい。
「もともと音楽をなぜやろうと思ったかというと、 音楽は人間を救える、あるいは世界を救えると 思ったからです。 なぜなら音楽の力の向こうには神様がいるのだから。 しかし、その後、何年も、音楽の真実を求めてさまよいましたが、 やればやるほど、 自分の人間としての無力さを知ることになりました。 そこで、私はこれは本当の救い主に助けを求める時だなと思いました。 だから、私はジーザスに学ぼうと思ったんです。 こういうことを言うと、人によっては、 あなたは日本人なのに、なぜジーザスを選んだの、 という人がいます、 つまり、ブッダであれ、孔子であれ、 他の歴史上の救い主から学ぶことだってできるじゃないかと。 僕はこういいます。 うん、それも考えたんだけどね、 だけど、他に選択肢が無かったんだ。 だって、それらの救い主の中で、 生きているのは、ジーザスだけだったからさ。 (ここ、笑うところ)
真面目な話、クリスチャンの音楽家さんたちの演奏を見たとき、 僕はそこにインディーズミュージックの理想形を見たんだよね。 それが僕が今、ここにいる理由です。」
そして嫁さんは、つたない言葉で、長々と、 僕との出会いから神様を信じるに至るまでを自分の言葉で語った。 下手なしゃべりだったが、案外と、心を動かされた人が多かったようでびっくりだった(笑)
そして演奏をさせてもらった。1曲だけ、オリジナルのワーシップソングである、"Only One Wish"を演奏した。 決して完璧な演奏ではなかった。が、通じ合える演奏ができた。 この曲は、結局、このツアーを通じて、いちばんたくさん演奏した曲であり、演奏するたびにパワーアップしていって、代表曲になるだろう予感を持たせた。 あたたかく迎えてくれたICCの皆さんには感謝をしたい。
この日の演奏の映像はこれだ。ツアーの後半の演奏とくらべると、まだたどたどしいところがある。
そして演奏後に洗礼を受けた。 自分の曲で賛美をさせていただいて洗礼を受けることができるというのはなんとうれしいことだろう。
洗礼の服が天使みたいで、いや、天使というよりは確実にオバQの気分だった。ふざけている。 しかし、ナチュラルにふざけて受けるべきものだと思った。 バスタブの水からあがった後、皆さんが拍手をしているのでついつい悪ノリしてVサインをしてしまった。 しかしよく考えると、洗礼の後にVサインというのは、キリスト教としては、ハマりまくっている行為である。 洗礼で水にもぐって、出てくるのは、キリストの死と復活を象徴している。 死に打ち勝ったというVサイン、そんで、やったぜ俺はこれで救われたぜというVサイン、 なんにせよ、クリスチャンならここでVサインせずにどこでしろというのだ、 というくらいに思う。 だから皆、ノリノリでVサインをすればいいんだと思う。 こういうときくらいは。
そして洗礼の時の映像もあるのだ。
ノリノリのまま、洗礼祝いのケーキを皆で食べて、写真を取った。 最高に幸せだった。 あたりまえだ。 必然に導かれた時と場所で、自分の言葉とメロディで賛美させていただいた上に、 嫁さんと一緒にバスタブにもぐった。 皆に祝福された。 まちがいなく神さんにも祝福された。 こんな幸せなことはそうそうない。
教会というカジュアルかつあたたかい空間、広い会場、洗礼と祝福、 最高の一日だったように思う。
ICCの皆さんとも会ってお話ができた。 洗礼を受けた場所だからあたりまえだが、また必ず戻ってきたい。きっと訪れるつもりだ。 CFNIで学んだ素晴らしいクリスチャンドラマーのみちやさん、 そして彼の仲間たちは、全米を回るミッショントリップをしている。 彼らのパワーは、間違いなく世界を変え、そして日本にリバイバルをもたらすことにつながっていくだろう。
そんな熱い若者たちに、出会えたことがうれしい。そして、面白そうだから僕らもまぜてくれ。 いや、クリスチャンロックを名乗るようになったところで、どうせ僕らは孤高の一人旅だろうけど、よかったらまぜてくれ。
夜、ケンさんと、皆と、バンドの今後であるとか、移住の可能性であるとか、税金のこととか(笑)、遅くまで話した。 そういえば、夜のごはんは、ケンさんと子供たちと、皆で、メキシカンレストランでディナーを食べた。楽しかった。 日本人教会にお世話になっていたので、周囲が全部英語ばっかの環境は、少しギャップがあった。
ダラスは、僕の印象では、まったいらで、やたら空間が広くて、なーんにもない、普通の、すみやすいアメリカの都市、平和な、住宅地、しかし、今回、ダウンタウンには行っていないし、ライヴハウスでの演奏もしなかったから、まだわからないけれど。 しかし、住宅地としては、ものすごくきれいで、広くて、典型的なアメリカの、良い部分を見た気がする。
今回のツアーで訪れた、いくつもの街のうち、住むならどれだ、というふうに考えながら旅をしていた。 ダラスは、広すぎて気が狂いそうになるかもしれないが、空間の広さと夏の暑さに退屈してしまうかもしれないが、環境は、決して悪くない。
メールが届いて、ケンさんのパソコンで見ると、僕らのオースティンでのショウが、Gig Guideみたいなインターネット上の番組で紹介されていた。写真と曲が勝手に使われてて恥ずかしい。でも、ありがたいね。さあ、翌日はオースティンにてライヴだ、うまくいくと、いいな。
mixiにアップした日記の記録
Dallas 2009年04月04日21:37無事テキサスに到着しました。
ICC Dallas, April 5th 2009年04月06日14:00 ICC Dallasにて1曲のみですが演奏してきました。あめりかさんでの一応最初のオフィシャルな演奏でした。
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