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ゆうじろうインタビュー 「Heterogeneous Species」
ゆうじろう: ぽんっと出て、今日も元気、ゆうじろう。
Tone: また出たか、この不良幽霊め。さっさと地獄に行くんだな。
ゆうじろう: まぁまぁ。どうせ地獄に行くときは一緒なんだから。
Tone: 確かに。それはなかなか笑えないね。
ゆうじろう: そんなわけでね、今日は、2005年の夏を通じて制作した、イマリ・トーンズのアルバム「異能レース -Heterogeneous Species-」について解説してほしいんだ。 ちょっと忙しいと思うんだけど、頼むよ。
Tone: 完成したはいいんだけど、すぐに次の制作に取りかからなきゃいけないからね。
ゆうじろう: だから時間は無いと思うんだけど、これをやっておかないと、スッキリと次の制作に取りかかれないだろうからね。インターネットで配信するんだろ? 責任持って配信するんだったら、作者による解説文くらい付けておかなくちゃ。
Tone: そうだよなぁ。仕方ない。
ゆうじろう: じゃあ始めよう。この「異能レース」は、ImariTonesとして君が自主的な録音制作を始めてから、6枚目にあたるアルバムだね?
Tone: そうね、いわゆるスタジオアルバムってやつとしてはね。
ゆうじろう: 前回の「光のヒーロー」が完成したのが、ついほんの数ヶ月前、2005年の3月だったわけだけど、これほどの短期間で次のアルバムの制作に突入した経緯、前作からの流れを教えてくれるかな。
Tone: このアルバムの制作の背景にある事情ってことね。いいでしょ。説明しましょう。 まずね、前作からの流れになるんだけど、2004年度を通じて、みねっち、はらっちと共に、ストイックなライヴ活動をしてきたバンドImariTonesが、あれこれの事情により、ライヴ活動を一時休止することが決まったんだよね。
ゆうじろう: あらまぁ。それはまたどうして?
Tone: 直接の原因ははらっちの離脱ってことなんだよね。彼は他にもやりたいことがあるのをわかってたからね。でもそうはいっても、互いに互いのことはわかってる。互いにいろいろ悩んだし、少しはゴタゴタもしたけど、結局とても平和的な離脱劇になったんだ。普通のバンドからしたら不思議なことだと思うよ(笑)現に今でもちょくちょく会ってるし、今回の作品も手伝ってもらったしね。また一緒にやる時もくるかもしれない。結局のところ、イマリ・トーンズから逃げ切ることは不可能だからね(笑)
ゆうじろう: 距離を置くことはできてもね。
Tone: イマリ・トーンズは、皆の心の中にあるものだから、なんてね(笑) まぁなんにせよ、普通であったら、そこで途方に暮れたっていいような状況なわけさ。メンバーの脱退、みたいな状況はね。 でも、僕はそうは思わなかった。まぁ少しはどうしよっかなと思ったけど、実際半日もせずに頭を切り替えてたね(笑)結構こう見えてもね(笑)一応はらっちを引き止めつつも、頭の中では「さて次どうしよっかなー」とかね(笑)
ゆうじろう: 意外とクールなんだね(笑)
Tone: まぁ状況を嘆くよりも状況を楽しむ方の考え方をしちゃうんでね。 まぁ少しは悩んで、それでいろいろと自分の身や、これまでの活動を省みてみてね。 あ、これは別に不幸なことじゃなくて、普通に前に進むための必然なんだなー、と、気付いていったわけだ。
ゆうじろう: すぐに考えが前に向いたと。
Tone: すぐにわかったわけじゃないんだけどね。いろんなことが、段々と見えてきたのさ。当面の最後のライヴを行った3月30日と前後してね。 たとえば、ひとつの例をあげると、ある場所を訪れたんだな。10年ぶりに。 その場所ってのは、上野にある不忍池ね。ここ何年か、もちろん上野は訪れていたんだけど、不忍池には行ってなかったんだな。で、以前ここに訪れたのはいつだったかっていうと、まさに10年前、高2から高3になる前の春休みのことで、地方の学生だった僕は、受験の下見に大学見学に来ていたのさ。
ゆうじろう: 大学の見学で不忍池ってことは、東大かな?(笑)
Tone: そうそう(笑)当時から慶應行く気で東大は興味無かったけど、一応どんなとこだか見るだけは見とかないとと思ってね。でも、1年後の受験本番では、例の受験すっぽかし事件を起こして、結局受けてないんだけどね(笑)
ゆうじろう: 受験すっぽかし、って・・・・。
Tone: これは単純に昔の自慢だけど、僕って結構学力はあったのね。東大模試は常にA判定出してたし、東大まともに受けたら受かっちゃうじゃない。受かっちゃったら、たとえ僕が慶應がいいって言っても東大に行かされる危険があった。親父とか結構保守的だったし、国立のが学費安いぢゃん?(笑)当時もうハニーちゃんと共に生きることを決意していたから、それは僕としてはちょっとマズいコースだったのさ。だから、すっぽかして帰ってきたのね(笑)
ゆうじろう: 笑って言うけど、普通あんまりすっぽかしたりはしないでしょ(笑)
Tone: まぁ見栄で合格するだけはしときたかった気もするんだけど、危険は排除しておきたかったんだ。当時の状況としてはね。まぁ昔の学力自慢話はそれくらいにして(笑) 不忍池の話さ。10年前にここを訪れたとき、東京は未知と希望の街だった。当時はまだハニーちゃんとも出会ってなかったし、普通の明るい未来を想像してたのさ(笑)実際は、その後ハニーちゃんに出会ってしまって、想像してたのとは随分違う形で進学・上京するハメになってしまったのだけどね。
ゆうじろう: おかげで悲惨なキャンパス・ライフになったんだよね。
Tone: ていうかキャンパス・ライフなんて無かったからね(笑) ともあれ、その、当時見た不忍池。そこを10年ぶりに訪れたことで、僕は10年前の、17歳だった自分に再び会うことができたんだな。10年前の、希望にあふれた若い自分と再会して、そして、その時不忍池になんと書いてあったか。「Cleared」と書いてあったんだ。パズルゲームでステージクリアしたときみたいに。
ゆうじろう: ステージクリアですか(笑)
Tone: ほんと。ゲームかと思ったよ(笑)でもそれはどういうことか。東京はもう知らない街じゃない。暗く辛かった大学時代や、そして2002年に再び東京に戻ってきて。象牙の塔にこもっていたロック哲学者Toneは、行を積んだ。期間は短かったけども、とても質の高いライヴ活動をした。少なくとも芸術的な意味合いではね。今では都内の主要なライヴハウスの場所がわかる、とかさ(笑)。17歳のときに考えていたのとは随分違った形になってしまったけど、僕はこの東京で、確かに自分の行を為したのだと。
ゆうじろう: 行、ぎょう、ね。またいかにも宗教家というか求道者らしいね(笑)
Tone: ロック修験者ですから(笑) まぁそういうわけで、再会した10年前の自分にもやっと笑顔で手を振ることができたと。 そんなこともあって、思ったのさ。 ステージクリアのサインが出たのであれば。 これは、やっちゃっていいんじゃないかと。 やるべき時なんじゃないかと。 もうやっちゃっていい時期が来たんじゃないかと。
ゆうじろう: やる、って、何を?
Tone: 最後の制作。
ゆうじろう: 最後の制作ゥゥゥ〜〜〜!?
Tone: わざとらしいリアクションありがとう(笑) 最後の、っていうのは、あくまでただの飾り言葉なんだけどね。 つまりはこういうことさ。はらっちが離脱することになったとき、 あーこりゃしばらくライヴ活動は休むかな、と。 ちょうど現状のライヴ活動に疑問を抱いていた頃だったしね。 逆に、こりゃ音源制作とかできるなー、と。 ていうか、音源制作するチャンスだなー、と。 ていうか、むしろ、今だからこそできるチャンスだなと。 バンドという形から自由になるからこそ、逆にチャンスだな、と。 そう思ったまでのことさ。
ゆうじろう: 逆にチャンスだと思ったわけ?
Tone: そうそう。多少傲慢に聞こえるかもしれないけど、バンドという制約から自由になるということはね、普通、ピンチというかパワーダウンするように思うんだけど、むしろ僕の場合は、逆で、バンドという形やバンドメンバーという制約から自由になる分、実は僕自身の能力を自由に発揮できるようになるわけで、逆に動きがフリーになってパワーアップだったりするんだよね。 だからこそ、その時点で僕の頭の中には大掛かりな制作の計画が浮かんだ。 逆にいえば、バンド形態でやっていたなら、この制作は絶対に不可能だったんだ。 だって、半年で4枚、アルバム作るんだぜ? バンドでやってたら、その半分だって追いつかないよ。
ゆうじろう: ええー半年でよんまい〜〜!!
Tone: 限りなくわざとらしいリアクションありがとう(笑) まぁね、こういうことさ。最後の制作。 最後なんて言うと、アレなんだけど、 ステージクリアのサインが出た今だからこそ。 経験も積んだ。そう、10年。僕がハニーちゃんと出会って、イマリ・トーンズの旅路を歩き出してから、10年が経とうとしている。 今ならもう、やれるんじゃないか、って。 すべてを出しきろう、ってね。
ゆうじろう: すべて、とは?
Tone: まずは、最も大事な、まだ多大なストックが残っているImari Classics。2001年の「Entering The New World」で何曲か消化したけど、この時代の楽曲たちに潜む真実に向き合うためには、まだまだチャレンジしなきゃいけない。10年以上も前に書いた曲たちだけど、10年の旅路を経た今ならきっとやれる。僕はそう思った。 それから、2002年以降のバンド活動で見えてきた、「異能ハードロック」。この、僕だけにしかできない高度なロックの概念を、きちんと完成した形で提示する必要があった。2004年度の黄金のスリーピースによる活動で、もちろんこれらにも取り組むことはできたけど、まだまだ未消化の部分がたくさんある。 それらのものを、きちんとやっつけよう、と。 これらも、バンドという制約から自由になったから出来たことでもあるね。
ゆうじろう: 自由になったToneが牙を剥いたと(笑)
Tone: そうそう。本気になっちゃったわけね。 ぶっちゃけね、半年で4枚とか、やっぱりキツいですよ。 ずいぶん前、高校を出てすぐに、一月で66曲のデモを作り上げたことがあったけど、それとはまた全然条件が違うしね。 バンドでリハーサルがきちんと出来ていて、制作もシンプルかつのんびりできた「光のヒーロー」と比べると、やっぱりクオリティに雑なところも出てくるかもしれない。 でも、それでも構わないと思った。 細かいところは後でいつでも修正できる。 それよりも、今しかできないことをやっつけておく方が重要に思えたんだ。 ていうか、イマリ・トーンズを完成させたかった。 いよいよ、僕のイマリ・トーンズを完成させる時が来たことを知ったんだ。
ゆうじろう: イマリ・トーンズを完成・・・・。
Tone: そう。それが一番大事なこと。この、自分のすべてを込めた、原点でもありゴールでもある、この4枚の作品を、自分の手で完成させるとき、イマリ・トーンズの10年間の旅路は完成するんだ、そのことに、自然に気付いたんだね。
ゆうじろう: で、君は一人、制作に取りかかった、と。確か、このアルバムと同時に、「無責任なメシア」というアルバムも制作してるんだよね。
Tone: そう。なんたって半年に4枚だからね。前半2枚、後半2枚、と、2ラウンドに分けて制作する計画を立てたんだ。この「異能レース」は、前半のうちの1枚というわけ。
ゆうじろう: 今回ドラムも自分で叩いたんだよね?
Tone: そうだよ。まぁ頼めばはらっちも少しは手伝ってくれただろうけど、この曲数などを考えても、やはりスケジュール通りに仕上げるには自分で全部やってしまうのがベストだからね。Studio Pel時代のように打ち込みドラムでやる気は一切無かったから、前進するためには自分で自分ならではのドラムサウンドを作り上げる方が素敵だと思った。実際、はらっちの離脱が明らかになってすぐ、2月くらいには既に制作のことを考えてドラムの練習を始めてたしね。自分のスネアやキックペダルを購入したりして、また今までに知らなかったドラムのハードウェアやサウンドの知識を学んでいくのはかなり楽しかった。実際、自分ならどういうドラムを鳴らそうかな、とか考えて、自分に適した機材を選ぶことができたと思う。
ゆうじろう: ドラムに関しては実施練習もやってたよね?(笑)
Tone: そうそう。偶然というのか何というのか、みねっちのもう一個のバンドである、盟友Poor Midnight Grandmaから、ちょうどドラマーのつっちーが戦線離脱しちゃってね。ヘルプドラマーとして、僕が参加してライヴを行った。4月から6月まで、確か4本のライヴでドラムを叩いたんじゃないかな。とても楽しかったし、実戦経験を積むことができた意味でも、サウンドのテストをすることができた意味でも、とてもありがたかった。純粋に彼らの力になれて嬉しかったしね。
ゆうじろう: そのヘルプドラマーとしての日程を終えて、確か6月から制作に入ったんだったね。
Tone: うん。あれね、制作にあたってのあれこれを言うと、そうして準備をしたとはいえ、いかに僕に才能があっても、しょせんはにわか仕込み、完璧なドラムが叩けてるわけじゃない。いや、いきいきしたプレイだとは思うけどね。最後の制作だなんて言ったけど、なんにせよこの制作には結構真剣だし、命を削って作ってる面は確実にあるわけさ。確実に寿命は削ってる気がするね。人生のまとめを行おうとしてるわけだからね。ある意味。しかも極限に激しいペースで。 今回、前半2枚をこうして仕上げることに成功したけど、これから行う後半2枚では、その極限状態はより表れてくると思う。内容的にも、もっと自分の中に深く潜ることになるしね。 そういったことを、感じとって聞いてくれると本望かな。死して悔いなしな感じで(笑)
ゆうじろう: 誰か屍を拾ってくれよ、と(笑) じゃあ、制作や背景の話は十分したから、そろそろ、作品自体の解説に移ってくれるかな。
Tone: OK。ばっちり解説しよう。夜も更けてきたが気にせず解説しよう。 まず、この「異能レース」という作品は、ある意図を持って作られた作品なんだ。 それはどういう意図かというと、1999年に制作した、ImariTonesのひとつの代表作になっている「Kodomo Metal」を越えるという明確な目的ね。
ゆうじろう: 「Kodomo Metal」はユニークだったものね。
Tone: そう、宅録ロックの金字塔ね。 あの異能具合、イカレ具合、ぶっとび具合を、越えようと思い、そうなるべく意図し計画した。 イマリ・トーンズの登録商標(?)である、僕の得意技「異能ハードロック」。 タイトル通り、その異能ハードロックの、特異なサウンドを、ばっちり提示する作品として計画した。 だから、曲目も、比較的ハードで先鋭的な楽曲を選んで固めているのね。 逆に、同時に制作していた「無責任なメシア」の方は、リラックスして聞けるポップで平易な作品に仕上げているんだけど。 とにもかくにも、「Kodomo Metal」を越える異能のサウンドの完成形として、Imariの先鋭的な代表作にすべくタイトルをつけて作ったのさ。
ゆうじろう: 「異能レース」というタイトルの他に、英語のタイトルも付いてるね?
Tone: うん、Heterogeneous Speciesってね。異質な種族、突然変異種、ってことなんだ。このヘテロジニアスってのも、近年のイマリのキーワードになってたからね。まぁこの言葉もどこぞの古いアニメから持ってきたんだけどさ(笑)
ゆうじろう: アルバムのジャケットについて解説してくれるかな?
Tone: うん。表のジャケット、これは、自分の左手だね。僕の左手。 なぜ自分の左手なんかジャケットに使ったかというと、それは普通の左手ではないから。 パソコンの小さな画像や簡易印刷ではわかりづらいかもしれないけど、普通の人の左手には無い妙なものが写ってるのがわかるだろ、人差し指と中指の付け根の部分。火傷の跡のケロイドなんだ。ハート型にね(笑)よく見れば指の付け根の関節の部分も水かきのようにくっついてるのがわかると思う。そのせいで僕の指はうまく開かないんだよ。ギターでストレッチをするときには若干不利なんだよね。
ゆうじろう: あらあら、そんな障害があったんだ?
Tone: そんな大したことないけどね。ギター弾くのにもエッチするのにも支障はないよ(笑)障害なんて言うほどでもないね、まったく無い。 これはね、この火傷は、僕が1歳のときに負ったものなんだ。赤ん坊が、遊んでいてアイロンを倒してしまったらしいんだ。だから、僕はもう物心ついた子供の頃には、左手にはこのケロイドがついていた。左手っていうのはそういうもんだと思っていたんだ。右と左を見分けるために印がついてるんだと思って(笑)なんでみんなの左手にはついてないんだろうって思ってたのさ(笑)
ゆうじろう: 無邪気なお子様だったのね。
Tone: 今回ジャケットに使おうと思ったのは、それはこの左手が特別だから。母親は今でもね、赤ん坊が遊んでいるそばに熱くなったアイロンを無用心に放置していたことについてね、気を病んでいて謝るんだよ、ごめんね、って。 でもね、お母さん、それは違うよ、って。 僕の左手はこんなに特別なんだ。世界中で僕しかいないんだ。だって顔を見なくても、手を見るだけで僕だとわかるだなんてすごいじゃないか。 僕は、この、僕だけしか持っていない、人とは違う特別な左手が気に入っているんだよ。 だってこの左手で僕はギターを弾いたんだ、いや、この特別な左手だからこそ僕はこんなにギターが弾けるんだよ、って。 人と違う特別なものって、それくらい価値のある素晴らしいものだと思うんだ。 それもこのアルバムのテーマだと思うんだね。 だから、僕はこのアルバムのタイトルを、「Something Special」にしようかとも思ったんだ。結局、「Heterogeneous Species」の方がしっくり来たんだけどね。
ゆうじろう: 結構泣かせる話かもしれないね(笑) でも、このジャケット、昨年出たbloodthirsty butchersのアルバムに似てるよね?
Tone: まぁそれはね(笑) いいじゃない、ファンなんだから。僕はブッチャーズの大ファンさ。
ゆうじろう: あっさり認めたね(笑)じゃあ、そろそろ、曲目解説にいってもらおうか。
Tone: あいよ。疲れるけどね、もう一息だ。 あ、その前にハード面のことを言っておこう。 このアルバムでは、自分でドラムを初めて叩いてる。その面でもサウンドが変化してる。それがひとつ。 次に、ギターサウンドも前作「光のヒーロー」とは、またひとつ違ってきてるんだ。 導入した新兵器は、「ブースター」。例のお気に入りのブランドCranetortoisのBS-1っていうシマウマのブースターを導入した。すばらしく良質のクリーンブーストが得られるブースターでね。こいつをね、愛用のCranetortois DD-1と組み合わせて使うんだ。 これによって、ギターサウンドの幅が広がると同時に、ずっと出したかった理想の音を出すことができるようになった。 それは、"Van Halen 3"でエディが出していたような、ゲインが高いのにクリーンな、透明感のあるギター・サウンド。あの粘りと芯のある音を、出すことができるようになってね。それが今回、ギターサウンドの表現の幅を、大きく広げてくれたよ。
ゆうじろう: オーケー。じゃあ、1曲目、「Saratoga Stream」。
Tone: これは、2003年11月の55曲デモのときに作った曲で、ヒッチーがいた4人編成のときに、バンドでも演奏していた曲なんだ。それを、今回きちんとした形で仕上げたってところかな。「サラトガ」っていうのはね、アメリカのニューヨーク州のどこかにあるらしい地名さ。なんか温泉かなんかが出る保養地みたいだね。その地名とは実は全然関係は無くてね。この曲を作ったときに、たまたま「サラトガストリーム」っていう言葉浮かんだんだ。呪文みたいな雰囲気でさ。そんで調べてみたら、実際にそういう地名があって、温泉も湧いてストリームって言葉もぴったりくるし、いいんじゃないかと。あと、「サラトガクーラー」っていうノンアルコールカクテルがあるよね。この曲を書いて以来好きになったよ(笑)
ゆうじろう: 偶然でそんな地名が出てくるんだったら君の直感も大したもんだね。
Tone: かもね。どうかな。あとさっきギターサウンドのことについて話したけど、今回はベースサウンドも変わっていてね。みねっちはKorgのベースアンプシュミレーターを使っていたけど、さて僕だったらどうするかなと考えて、やっぱアナログの機材だよなと考え、結局おなじみのCranetortoisに頼ることになった。BP-1っていうベース用プリアンプのペダル。これによって、ベースのサウンドも僕らしい音で、ぐっと有機的になった。僕としては理想のサウンドさ。今回このベースの音が結構肝になっていてね。ミックスでもベースを大きめにしている箇所が多いと思う。このサラトガストリームもベース中心の曲だね。でっかいサウンドが作りたくてさ。
ゆうじろう: 次、2曲目「Vitamin Glass」
Tone: これもヒッチーが居たときにバンドで演奏してた曲です。きちんとした形で完成させました。これは結構パンチはあると思うんだよね。ばっちりと異能ハードロックで。勢いのある曲だし、あとサビ部分の3拍子ね。ポリリズムとかなんと言うのかわからんけど、3拍子なんだけど、ドラムだけは普通に4拍子のエイトビート叩いてるのさ。はらっちも苦労してたけど、よく自分で叩けたなと(笑)
ゆうじろう: ドラム叩かせても天才だと(笑)
Tone: そこまでは言わんけどね(笑)実際このアルバムでのプレイもひどいもんだし。 まぁともかく、サビ部分の官能さ。このサビ部分のヴォーカルのディレイは、「Kodomo Metal」の「僕は君のTeddy Bear」でも使ったけど、今回やっとうまく行ったといったところかな。この時点でコドモメタルを越えたかな、と。 あとギターソロね。今回の制作でのギターソロには、素敵なエピソードがあるんだぜ。 2枚分の、10曲以上のギターソロを、なんと1日で録ってしまったのね。 で、リズムギター録ってから2ヶ月くらいたってて、ギター弾くのひさしぶりだったもんだから、いきなりそんなに大量に弾いて、指が破けちゃってさ。血まみれでギター弾いてたの(笑)痛くて弾けたもんじゃなくてさ、やめときゃいいのに、指にガムテープぐるぐる巻いて、結局全部弾いたという。んで、この曲のギターソロはそのガムテープぐるぐる巻きで弾いたものです。
ゆうじろう: それはすごいエピソードだね。流血のエピソード。
Tone: ガムテープ巻いたからね、指に、うまく指動かせないし、プレイのニュアンスも出しづらいのね。まるでロボットが弾いてるような。でも、この曲に関しては、そのロボット的なニュアンスの無い冷淡なプレイがうまくはまった(笑)ガムテープ巻いてるわりにはスピードも出てるしね。
ゆうじろう: 痛い思いをした甲斐があったと。次、3曲目「Heterogeneous」。
Tone: Heterogeneous、つまり、異質。アルバムのタイトルにも関連する曲だね。これも4人編成のときに演奏していた曲です。結構いい曲だと思う。ハイトーンで歌うの難しかったけどね。僕のイメージでは、虚無的な未来世界での異能種族の葛藤を歌っているような感じで、必ずしも明るい曲ではないね。ギターワークの音には、仏教の響きもあるし、ちょっと得意の仏教リフかなーと思っている。仏教ソングも時々作っているからね。 ギターソロも短いけどうまくまとまってるし、結構自分では誉めてあげたいですね。ちょっとVan Halenの某曲のギターソロのパロディっぽいけどね。
ゆうじろう: この曲のギターソロでは指は大丈夫だったの?
Tone: うん、これは指が破れる前(笑)んじゃ次、4曲目の「Juku-Shiki」かな。
ゆうじろう: Juku-Shiki、って何? Jishu-Juku-Shikiって言葉も出てくるよね。
Tone: Juku-Shikiっていうのは、住んでいる街のことさ。2003年に、ヒッチーの呼びかけにより、バンドの皆で共同生活を始めた、今も住んでるこの家、この町のことさ。 JukuもあってShikiもあって塾式っていう意味もあってJuku-Shikiさ。 僕のいた大学では、このJuku-Shikiのことをシキコーって呼んでたのさ。 まさかそこに自分が住むとは思ってなかったけどね。 Jishu-Juku-ShikiのJishuってのは、僕とハニーちゃんの通っていた地元の高校のことで、どういうことかというと、そのシキコーってのが思いのほかその地元の高校と似ていたんだね。それで、Jishu-Juku-Shikiっていう言葉を作ってみた。 この曲は、2003年に始まった、House Juku-Shikiでのバンド仲間の奇妙な共同生活のことを歌ったもので、同時に僕の地元での青春時代の自由な雰囲気とスピリットのことを歌った曲でもあるんだ。 まぁそんなこと言っても意味不明な内容になってると思うけどね。
ゆうじろう: 歌詞とか何のこと言ってるんだかさっぱりだよね(笑)
Tone: まぁ、この曲も僕の得意の自己流ツェッペリンシリーズの延長線上にある曲なんだろうけどね、まぁそんなところさ。なかなかユニークな曲だと思うよ。あとこの曲のギターは、2003年11月のデモの時に弾いたものをそのまま使ってますね。デモのためになにげなく弾いたギターがこうしてきちんと使えてしまうのは、なにはともあれ僕のギターの腕の確かさを表していますねー(笑)
ゆうじろう: 自慢はいいから(笑)じゃ、次5曲目「ブイヤベーシック異能流」。タイトルからして意味不明なんだけど。
Tone: 曲の方はもっと意味不明だよ(笑)まぁ冗談はさておき、ブイヤベーシックってのは、僕が大ファンでファンサイトも運営してる、熊谷幸子御大の作った造語さ。これは異能ハードロックだね。文句なしの異能レベルだよ。そんでこれはお料理ソングさ。料理の作り方を延々としゃべってる。料理番組、3分クッキングさ。何の偶然か曲もちょうど3分で終わるんだよね。熊谷幸子によれば、ブイヤベーシックってのは、ブイヤベースみたいに、いろんな素材を入れて煮込んで、でもそれは単なるミクスチャーじゃなくて、きちんとルーツやベーシックがあるんだ、てことだと思うのね。 だから歌詞は、そういった、音楽ジャンルの概念や垣根を越えたミックスについてのものなんだけど、鳴ってる音楽自体は、そういうジャンル云々以前に、誰にも真似のできない異能ハードロックサウンドだってところがポイントさ。つまりこの曲の歌詞は、もっともらしいジョークだってことになるね(笑)
ゆうじろう: ずいぶんと人を食った曲みたいだね。
Tone: そうかもね。んで、この曲のギターも2003年11月のデモそのままさ。こうしてデモでさらりと弾いたギターがそのまま使えてしまうというのはやはり僕のギターの腕が・・・・・
ゆうじろう: もういいってば、それは(笑)次、6曲目「空想少年」。タイトルが素敵だね。
Tone: これはImari Classicsの最後の曲だね。1997年2月頃の大学時代に作ったものだけど、分類上はImari Classicsに含まれるという変則的な分類の曲さ。 内容は、子供たちに、純真さを失わず、可能性を大事にしてのびのびと育っていってほしい、というような素直でポップな内容になっている。なんというか小学生を対象にしたような曲だね。実際、はつらつとして元気のいい曲だし。コーラスワークも平和であたたかい雰囲気を出している。親しみ易いし、好きな曲だね。決して、「カッコイイ」曲ではないかもしれないけどね。 この曲のベースはシンセベースです。その方がしっくり来たんでね。 あとは、ギターソロが結構えらいことになってるね。 なぜこんなほのぼのとした曲でこんな凄まじいギターソロを弾かねばならないのか、まったく謎だよね(笑) このときばかりはマイケル・シェンカーが降りてきた、神が降りてきちゃったよ、と思ったね(笑)
ゆうじろう: そりゃこんなギターソロ弾きまくってたら指も破れるよね。じゃ、次、7曲目「遠い夏の子守歌」。
Tone: もちろんこれもImari Classicsですね。1995年の夏に作曲したものだよ。子守歌。なんか、古い日本の唱歌みたいなイメージなんだよね。音楽の教科書に載ってた「この道」とかさ、あんな感じの。 こうやってロックチューンに混じると明らかに異質なんだけど。やっとレコーディングすることができたよ。 ピアノはね、8月に、実家にノートPC持って帰郷してさ、懐かしのStudio Pelで録ってきたんですよ。その他のピアノ曲たちと共にね。 Studio Pelにあるピアノは、2001年以前に「春風に乗って君と飛ぼう」や「涙の雨を走り抜けて」「私は魚」などで使ったものと同じピアノだけど、サウンドは違ってるんだ。以前と何が違うかというと、調律が違ってる。妹の師匠のピアニストが専属の凄腕の調律師さん連れて来ててね。以前よりもリラックスした音に調律されてるんだよね。だから、より自然なピアノの音になってると思う。 そんで何より歌だよね。 最初は、普通のロック唱法でいこうと思ったんだけど、やっぱりしっくりこない。 で、ちょっと思い立って、少しずつオペラ的な歌唱法にシフトしてみた。 結果、日本の唱歌だからね、完全なオペラ歌唱法でもない、その中間くらいので歌ったやつが一番しっくりきた。 以前、ヴォーカルについてのインタビューをやったとき、このテノール歌唱法についても話したと思うんだけど、完全なテノール歌唱法ではないにしろ、その片鱗を、ついにイマリ・トーンズの作品でも披露してしまったね(笑) 子守歌としては実用性あると思うよ。結構眠くなるからね、これは(笑) 懐かしい、遠い昔の夏の情景を描いた曲です。 うちの親父は悔しがるんじゃないかな。こういう歌い方は、親父の十八番だからね。ずっと合唱をやってきた人だから。
ゆうじろう: まぁきちんと親父さんの影響を受け継いでいると。
Tone: そういえるかもしれないね。だいたい、Imariの楽曲において、僕が、独特の特長的なコーラスワークにこだわるのも、その合唱が好き、っていうところがあるんだよね、最近気付いたんだけどさ。 あと、例のごとくこの「遠い夏」までが仮想A面で、次の曲からB面に入ります(笑)
ゆうじろう: じゃ、そのB面1曲目でもある、8曲目「空飛ぶキッチン」。
Tone: 来たね、この曲も10年越しなんだよな、10年以上。作曲したのは、1994年の5月くらいじゃないかなー。やぁっと録音できたねー。自分の中では、とても印象的な曲です。高校時代のImari Classicsの中でも、初期を代表するような。高校時代にもバンドで演奏を試みたことがあるんだけどねー、うまくいかなくて。この曲もコーラス曲だからね。サビ部分はツインヴォーカルのイメージなんだ。
ゆうじろう: あとタイトルが印象的だよね。キッチンが空飛んじゃうんだから。
Tone: そうそう、この曲もお料理ソングなんだよね。でも当時は違ったんだ。作った当初高校時代はね、単純に「Let Me Fly Into The Sky」っていう曲だった。で、この曲が実は料理のことを歌った曲だったんだ、ってわかったのがつい最近なのね。Aメロの歌詞だけ書きなおしてさ。そんで、Bメロで「君に必要なもの、それは」って言ってるでしょ。当時は、それがなんなのかわかんなかったのね。だから、昔作ったデモテープとかでは、必要なものが何かは歌ってないの。でも、お料理ソングだとわかった今は、そこに「ビタミンB」「食物繊維」というキーワードがぴったりと当てはまった。あーそうだったのかー、僕の料理好きも、ついに役にたったなー、って。
ゆうじろう: で、キッチンを空に飛ばしてしまったと。
Tone: そういうことだね(笑)すごいいきいきしてるしね、いい曲だと思うな。キャッチーなんじゃないかな。あと、ギターソロが非常に生きてるしね。今までいろんなギターソロを弾いたけど、少年時代のいちばん輝いてるときに作ったこの曲のギターソロこそが、やっぱり、誰の真似でもない、これがナカミネタカヒロのギターなんだ、って感じだね。何も考えることなく、のびのび弾いてるよ。
ゆうじろう: もちろん指が破ける前に弾いたソロなんだよね(笑)じゃ、次、9曲目「42」。またも変わったタイトルだけど。
Tone: 42ね。フォーティートゥー。どういうことかというと、歌詞でも言ってるけど、これは、2003年11月の55曲デモのうちの、42番目の曲、ソング42なんだね。 うまいタイトルが思いつかなかったから、そのまま42にしちゃったと。んで、それに合わせて英詩で書いてみた。下手な英語で、喋ってるだけでラップですらないけど、まぁ初の全編英語ってことで、チャレンジしてみました。曲はもちろん異能ハードロックの真骨頂で、しかもかなり骨太でタフなサウンドになってる。かなり気に入ってるね。なんか海外で通用しそうな気がしてきたよ(笑)
ゆうじろう: 42、「死に」ってのを利用したんだね。
Tone: そう、ソングオブデス、つってね。でも、そんなこといったら、この2003年11月のデモ、たとえばよく覚えてないけど、丘上烈風はソング22くらいだったし、虚数少年2はソング30、Saratoga Streamはソング31とかね、Mixing Girl Reflectionはソング15とか、他にもいろいろありますよ。
ゆうじろう: 結構実り多いセッションだったわけね。じゃ、次10曲目の「Space Merchant」。
Tone: これは得意のSFハードロックだね。久しぶりに。この曲は「Entering The New World」に入っていた「14000 light years away」の兄弟曲なんだ。同じようにタッピングでリフを作ってるしね。2000年か2001年くらいに書いた曲かな。 でも、ユーモラスな曲だし、ジョークのつもりで作ったんだけど、まさかというか、思いのほか勢いのある曲になったんで驚いてるよ。なんか、もう笑うしかないサウンドじゃん?
ゆうじろう: 歌詞も面白いよね。
Tone: うん。地球を捨てて、宇宙の商人として身を立てた男の話を歌ってる。結構しっくり来てるよね。たぶん僕の中では、この曲の主人公は、14000 light years awayやGalactic Dreamerと同じ人物でね。14000で未知の世界に憧れ、Galacticで科学者となった男は、おそらくは宇宙研究の第一人者となり、ついにこの曲で、宇宙に飛び出すんだ。しかも、故郷である地球を捨てる形で。そんで、宇宙の都市で若返りの手術を受け、新たな人生を歩み出すというわけさ。この曲の続編はまだ作ってないけど、この宇宙の商人となった男が、この後どんな運命を歩むのか、なかなか興味があるね。 まぁなんにせよ、この曲はタッピング天国だね。両手タッピングもしてるし、全編タッピングだからね。 そういう意味でも面白いんじゃないかな。
ゆうじろう: じゃあ次、11曲目「Chinese Mermaid」。
Tone: これはちょっとだけ東洋がかったメロディを持った、ストレートな骨太のロックだね。僕の中ではちょっとだけパンクの要素があると思ってる。この曲は、タイトルからもわかるように、中国人の女の子のことを歌ってるんだけど、中国のことを歌ってるんじゃなくて、東京のことを歌ってるんだ。東京には、中国の人、結構多いじゃん? また僕は、飲食業界でバイトしてたから、そういうとこで働いてると、かなりたくさん中国の方がいるんだよね。そんで、東京と中国人の女の子っていい組み合わせだよなと思って、あと、中国の子から見た東京ってどんなかなーというのもあって、このタイトルで曲を作ってみた。別に政治的な意図は無いんだよね。ただ単に東京で暮らす中国人の女の子を口説くという、それだけの内容。恋しちゃったら国籍なんて関係ないよね、っていう。まぁそうね僕にとってはお気に入りのラーメン店で働く中国人の店員さんが僕にとってのチャイニーズマーメイドです(笑) 曲の最後でいろいろわめいてるのが下手な英語でちょっと不穏かなとも思ったんだけど、最後に「長澤さーん」って言ってるんだよね。わかる人はわかると思うんだけど、この長澤さんっていうのはThe Beatlesのサージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンドのことで、つまり愛と平和のメッセージのことなんだぞ、と。政治的情勢は一切無視してそういう感じですね。 東京のことをダイレクトに歌った曲は初めてに近いと思うんだけど、結構気に入ってますね。結構くちずさんじゃうメロディです。
ゆうじろう: OK。駆け足で。次、12曲目「ぼちぼち」。
Tone: これは結構感動してもらっていい曲ですよ(笑)。 この曲を作ったのは1999年のことで、まだ遠距離恋愛だったころ、僕の下宿に、ハニーちゃんが久しぶりに遊びに来たのね。で、朝目覚めて、隣にハニーちゃんが寝ていて、その時に夢の中で鳴っていたという曲。夢の中で勝手に鳴っていて自動的に出来てしまったパターンね。 んで、聞いてのとおりとてもほのぼのとあたたかな曲に仕上がりました。 彼女との10年間の歩みを、そのまま3分に凝縮した楽曲だからね、すごく個人的な楽曲でもあるし、すごく思い入れのある曲でもあるし、これ以上あまり解説する必要もないんじゃないかな。 素直に皆さんのところへ愛を届けられればいいんじゃないかと。 ハニーちゃんとのデュエットになってるわけだけど、ハニーちゃんのヴォーカルについては・・・・・僕がAuto-Tune(ヴォーカルの音程修正)のプラグインを持ってないんだなということをこれでわかってもらえると思う(笑) あとは、レコーディングで初めて本物のアコギを使いましたね。 この曲は皆に親しんでほしいなぁ。
ゆうじろう: じゃあ次、最後の曲で、「Song0」。
Tone: これはタイトルの通りですね。さっきの42がソング42だったように、これはソング0です。2003年の、確か8月か9月、僕がHouse Juku-Shikiに引っ越してきて最初に作った曲なんだよね。真夜中に、ヒッチーの部屋で、みんなで喋っているときに出来たのね。異能のサウンドを追求しようとする僕の方向性が素直に現れていて、これはベーシックだなと。バンドでも演奏したかったんだけどね、機会がなかった。で、今回、ベーシックなインスト曲に仕上げてみた、と。 アルバムの最後はジョークで終わりたい方なんでね、僕は。 いままでのアルバムもそうだったけど、前の楽曲の感動を引きずらない形で、この曲で締めくくる、と。 ドラムとか演奏も超ラフなんだけど、でもその分、めちゃくちゃリラックスしたいきいきとした演奏が楽しめるようになってると思う。結構ドラムも張りきってるから(笑) この曲はね、スタジオの感じが出したかったのね。ほら、バンドの練習のリハーサルスタジオでさ、いつも思うんだけど、スタジオの生の音、この演奏の様子、これをそのまま届けられないかなーって。そういった、練習スタジオで聞ける生の音、みたいな、そんな体験をしてほしくて、このサウンドに仕上げてみました。
ゆうじろう: よっしゃ、じゃ、これで楽曲の解説も全部終わったし、全体のまとめのコメントをくれるかな。
Tone: 合点だ。この「異能レース」は、さきほども述べたように、過去の代表作のひとつである「Kodomo Metal」を越えるべく作った作品で、先鋭的で高度な「異能ハードロック」の楽曲が集中的に収録されています。それだけに、わかりにくいというか、難解な部分もあるかもしれない。 そう、これを言っておかなくてはいけないんだけど、 収録曲の曲順を決める段階でね。いろいろ悩んだんだ。 もっととっつきやすい曲順にしてもいいんじゃないかって。 でも、結局、ハードで難解な異能の楽曲を、最初の方にまとめて持ってきた。 どういうことかというと、このアルバムは、ImariTonesの、今後の代表作にしていきたいと同時に、初めて聞く人に、ImariTonesというものを誤解してもらうための作品にしようと思ったんだ。
ゆうじろう: 今、誤解、って言った? 誤解されちゃマズいんじゃないの? 理解の間違いじゃないの?
Tone: いや、誤解なんだね。このアルバムはね、はじめから聞いた人が、イマリ・トーンズっていうバンド/アーティストを、誤解するような作りになっているんだ。そして、その誤解は、聞き進めるに従って、そして最後まで聞きとおして初めて、あーそうだったのか、と、解けるような仕組みになっている。ていうかひょっとすると最後まで聞いても解けないかもしれないけどね(笑) でも、それでいいんじゃないかと思ったんだ。イマリ・トーンズは、とても理解しづらいアーティストでもあると思うし、ひょっとすると誤解したままで離れていってしまう人も結構いるかもしれないけど、それでいいんじゃないかって。だからこのアルバムは、ちょうどリトマス試験紙のようなものでさ。
ゆうじろう: このアルバムを理解できれば、イマリ・トーンズの世界に入ることができる、と。
Tone: そう。その入口としてね。だからこのアルバムは、初めて聞く人にはとてもいいんじゃないかな、とね、思うんだ。 というわけで、イマリ・トーンズに初めて触れる方、ぜひこの「異能レース」から聞いてください。「代表作」ですから!!
ゆうじろう: 聞いて誤解しろ、と。
Tone: そうそう。なんだかんだいっても、異能ハードロックは難解かもしれんからね、だから、これはリトマス試験紙というよりも、挑戦状でもあるかもしれんね。聞く人に対する、挑戦状。このサウンドを理解できるか?っていう。
ゆうじろう: というわけで、皆さん、挑戦状だそうです。ぜひ皆さん、挑戦してみてください。
Tone: それが理解できたらね、同時に作った、誤解を解くためのアルバムである、素顔の作品「無責任なメシア」や、普通のバンド版イマリ・トーンズである「光のヒーロー」とかを、聞いてくれればいいのであってね。
ゆうじろう: OK。わかったよ。じゃあ、だいたい解説も終わったし、そんなところかな。
Tone: うん。ドラムなどのハード面や、次の制作や、今後に対する展望などもあるんだけど、それらは、同時に作った「無責任なメシア」の解説に譲るとしてね。
ゆうじろう: あ、もうひとつだけ忘れてた。 裏ジャケット。ジャケットの裏にある、この妙な手が写ってるやつ。これは何を意味するのかな?
Tone: ハンドサインね。ImariTonesの"I"と"T"をイメージしてみました。 呪文のポーズのようでもあるし、真似してくれたら嬉しいなと。 ただ、結構難しいし、体勢的に高々と掲げるのは無理なので、Van Halenのハンドサインのように、普及させるのは無理かな、と、早くもあきらめております(笑)
ゆうじろう: ライヴ会場でやってくれた嬉しいな、と。
Tone: そうね(笑)
ゆうじろう: じゃ、そんなところで、今回はお開きにしたいと思います。
(2005年9月)
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