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ゆうじろうインタビュー 「Prototypes」
ゆうじろう:ぽんっと出た、僕はゆうじろう。ゆうれいゆうじろうだよ。 さあ、今日もインタビューを始めよう。
Tone:ゆうれいとインタビューね。なかなか画期的だろうね、きっと。
ゆうじろう:わからない人のために言っておくと、僕はゆうれいのゆうじろう。Toneことナカミネタカヒロに、彼が13のときから取り憑いてる由緒正しき幽霊さ。詳しいことは前回のを読んでもらうとして、Toneとは長い付き合いなんで、このたびImari Tonesとその作品に関するインタビューをさせてもらうことになりましたー。
Tone:まぁ要するに作品解説の文章ですよ、と。
ゆうじろう:そんなわけで、一応第2回目となる今日は、「Prototypes」という作品について聞いていくことになるわけだ。確か'99年の作品だったよね。
Tone:そう。1999年の春。前回、「Through The Garden Of Gods」というタイトルのつけられた作品を、1998年の夏に作ってから、2度目の制作になるわけだ。あ、そうそう、言い忘れてたんだけど、一応、今でこそ、「Through The Garden Of Gods」、「Prototypes」といったタイトルがついているけど、ジャケットのデザインなんかも含め、これらのタイトルがついて、作品の体裁が整ったのは、もっと後のことだから。作ってるこの頃は、そんなこと何にも考えてないからね(笑)考えられる状況でもなかったし。
ゆうじろう:ただひたすら作っている感じだったのかな。それじゃ、前回の続きということもあって、前作の、「Through The Garden Of Gods」からの、制作の経緯なんかを教えてよ。
Tone:そうね、まず、「Through The Garden Of Gods」を作ってみたんだけど、前にも述べたとおり、そういう先の見えない状況で、作品を作ったわけで、作ったところで、それが何を意味するのか、それでどうしたらいいのか、とか、何もわからなかったしね。作品はせいぜい、少数の知り合いや友人に聞かせたぐらいだったし(笑) でもね、やってみて、いろいろとわかってきたこともあるんだ。それは、録音制作の技術的な面に関してだね。だから、僕はそれをもとに、「Through The Garden Of Gods」の後に、機材を増強した。 まともなギターアンプを買い・・・だって「Garden Of Gods」のギターの音は、練習用の20Wの小型アンプで鳴らしたものだったんだぜ?・・・そしてコンデンサーマイクを調達して・・・マイクプリアンプも調達し・・・その後のImariのレコーディングサウンドを支える機材たちが、この時期にあらかた揃っていったね。そしてレコーディングソフトのバージョンアップによって、24ビットでの録音制作が可能になった。もっとも、僕が使っていたオーディオインターフェイスは、入り口のADは20ビットだったから、20ビットで録ったものを24ビットで内部処理し、最後にCD用に16ビットに落すという録音作業だったけどね。「Prototypes」から「Entering The New World」までの作品は、すべてこの20ビット入口24ビット編集で作られてきたんだ。
ゆうじろう:われらがStudio Pelも、だんだんとグレードアップしてくるわけだ。
Tone:そう。録音というのはそれ自体がすごくおもしろかった。僕は少しずつ研究したりして、それにのめりこんでいったと思う。当時はパソコンを使ったレコーディングが発達してきたちょうど真っ只中だったから、半年もするとまったく新しい技術が出ているという感じで、すごく活気があった。本格的なパーソナルレコーディングがすごく発達してきて、以前ならすごく値段の高かったコンデンサーマイクのような録音機材が、各社が競って安価で出すようになったりしてね。楽器屋に行っても、録音機材やコンピュータプラグインを扱うお店とか、すごくドキドキが感じられた。今ではもう、世紀が変わってからこっち、もう落ち着いてつまらなくなっちゃった感があるけどね。
ゆうじろう:そして、その録音技術や機材の向上の過程で、「Prototypes」が作られる、と。
Tone:そのとおり。「Prototypes」というタイトルにも表れているけど、これは純粋に実験であり、準備であり、録音技術向上のための練習だった。だからこのときの制作では、6曲しか制作してないし、わざと、比較的地味で渋いと思われる楽曲を選んで録音した。ベーシックなもので練習したかった、というのもあるしね。
ゆうじろう:準備とか練習とか言ってるけど、プロトタイプ、試作品、ということは、その後に何かそれを踏み台にして作ることを考えていたわけなのかな?
Tone:そうなんだ。この「Prototypes」に取りかかる時点で、僕はすでに、その次の「Kodomo Metal」という作品を見越していた。才能をありったけ込めた、派手な作品を、どっかーんと作ってやろうと考えていたんだよ。ドラムトラックは打ちこみの自宅録音ロックとはいえ、何かができるんじゃないかと思ってたんだ。そして、そのための技術の踏み台と、ノウハウの習得、そして何よりも自分の頭の中にあるサウンドに確信を持つために、僕はこの「Prototypes」を作ったんだ。
ゆうじろう:なかなか計画的だね(笑)
Tone:前作の「Garden of Gods」はね、情念こそ多量に込められているけど、技術的には非常になにもわからなかったし、未熟な習作だったと思う。でも、この「Prototypes」では、2作目とはいえ、僕は、いろいろ学んだ。能力を生かす機材と環境も整った。曲目こそ地味だけど、この「Prototypes」には、Imariの実力がしっかりと込められている。この作品はすでに、自信をもって、ImariTonesナカミネタカヒロだ、って言うことのできる作品だよ。そして僕は確信を持って、その1999年の夏、「Kodomo Metal」と名付けられることになるアルバムの制作に入るんだ。
ゆうじろう:ほほう。
Tone:この作品「Prototypes」は、1999年の、2月から3月の、春先に録ったものだ。そして、この頃、暗くて先が見えなかった僕とハニーちゃんの周りにも、なんとなく、少しずつだけど、希望のようなものが見え始めていたんだ。大丈夫、僕たちは、離れることなく、やっていける。そんな思いが、希望が、この春先のほのかなあたたかさを含んだ空気感と一緒に、音にこめられている。前作「Garden Of Gods」と比べて、サウンドも内容も、なんだか明るくなってきているのは、そのせいだよ。
ゆうじろう:まぁ音がクリアになったのは機材のせいなんだろうけどね(笑)
Tone:そんなわけで、暗く厳しい冬が終わり、春が訪れようとしている。その希望のあたたかさこそが、この作品のテーマであり特徴だと思うよ。
ゆうじろう:さて、じゃあ作品の具体的な解説に移ろうか。まずはアルバムジャケットの解説からしてくれない?
Tone:前作「Garden Of Gods」もそうだったけど、この「Prototypes」というタイトルにしろ、ジャケットにしろ、後から付けたものでね。作った直後は、そんなものは無かったんだ。んで、ジャケット、これは、うちの犬の、ビーグル犬のペルちゃん。実家で飼ってた犬の絵を、僕が遊びでパソコンで描いたんだけど、それを使っちゃった。どことなく軽くてユーモラスな雰囲気もただようこの作品に合うと思ってね。ペルちゃんは、僕や妹が、小学生のときから飼っていたんだけど、この年、1999年の夏に、死んでしまいました。だから、ある意味、これは遺影かもしれないね(笑)Studio Pel、の名前は彼からもらったものだからね。
ゆうじろう:タイトルの「Prototypes」というのは・・・
Tone:さっきから語ってきた一連の流れからそのままの意味なんだけど、この名前も世紀が変わってから付けたものだったと思う。もうちっとマシな名前だってあったと思うんだけど、これしか思いつかなかったもんで。
ゆうじろう:OK。じゃあ曲の解説に入りたいんだけど、その前に、このアルバムは8曲入りだけど、確かラストの2曲は後から追加したものなんだよね。
Tone:そう。さっきも触れたように、もともとこの作品は、6曲入りのハーフアルバムとして制作したものだよ。それに、2003年の秋、イマリトーンズが4人編成のバンドとしてやっと始動しようとするときに、ソロワークスの締めくくりとして2曲録ってみた。その2曲が、このアルバムのカラーに合うと思ったから、このアルバムに放りこむことにしたんだ。楽曲数も少なかったしね。8曲あれば、ギリギリ、フルアルバムっぽくなるだろ?
ゆうじろう:なるほどね。じゃあ曲目解説に行ってみようか。 1曲目、「Breath Of Angels」。
Tone:この曲は僕の得意とする「風シリーズ」のひとつだね。
ゆうじろう:風シリーズ?
Tone:僕のエレクトリックギターは、その多彩なリフでもって、雨だって表すし、光だって表現するし、どんな情景だって表現する自信があるんだけど、その中でも得意とする作曲技法に、風を表現するギターリフの流儀があるんだ。17の頃に書いた最初のやつにはじまって、その一連のシリーズの曲がたくさんあるんだけど、これはそのうちのひとつだね。 よくわからないタイトルなんだけど、天上に吹く天使の息のような風をイメージしてる。官能的で、幻想的な天上の大平原を駆け抜ける風、かな。結構でっかいリヴァーブがかかってるしね、スケールの大きな音像になってるんじゃないかな。あとは前半、後半の二部構成でちょっとだけプログレっぽいね。 あとはギターの音像とか、いい感じに古臭くなってますね。 基本的に僕は古臭い音像、っていっても、'70年代後半から'80年代始め、ってくらいの古さの音像が好きなんだけど、このアルバムでは全体を通じてその理想の音像に近づけたと思ってる。
ゆうじろう:'70年代後半から'80年代はじめにかけて・・・・細かいね(笑)
Tone:要するに自分が生まれた頃や幼かった頃の記憶、ってことなんだろうけどね。きっと幼少時の記憶や感覚と関連があるんだと思うよ。
ゆうじろう:じゃあ、次、2曲目の「You」。
Tone:これは純粋で素朴な曲だね。あどけない曲というか。シンプルかつユニークなロックサウンドなんだけど、曲の内容は、シャイで不器用な引きこもりの男の子が、初めての恋に触れて心を開いていく様子を描いてる、んだと思うたぶん。 Aメロとか本当に不器用な感じだけどね(笑)ギターサウンドが、すごく繊細な感じを出していてかなり気に入ってる。 この「Prototypes」の曲は、素朴な曲が多いんだけど、その素直で素朴なサウンドに関してはかなり満足している。素朴で純朴な持ち味を持ったアルバムだよ。楽曲も派手ではないし、通好みの作品なんだろうと思うけどね。
ゆうじろう:次、3曲目の「Sunny Side Up」。
Tone:この曲はユーモラスなエンターテイメント路線だね。 ジョークを交えた、軽快なロックンロールさ。 ロックンロールとはいっても、ベースの音も加工してあるし、独特の効果音も入って、ちょっとおもちゃっぽいユーモラスなものになっているけど。 ヴォーカルも僕の声のキャラクターを生かしたものになっているし、前作と比べるときちんと能力を発揮できるようになってるなと思うね。 歌詞は、なんなんだろうね、悲喜こもごもの愛情生活というか、たぶん、単身赴任生活とか、借金をかかえた男の生活をコミカルに歌ってるんだと思うんだけど(笑)。 ギターソロはワウを使ってみました。 簡単なソロだけど、ばっちりはまったんで気に入ってます。
ゆうじろう:次、4曲目、「前途多難」。
Tone:この曲はすごいと思うよ。かなり気に入っている。 すごくビッグなロックサウンドを再現することができた。 さっき、僕の作曲技法のひとつとして、「風のギターリフ」っていうのを挙げたけど、 これは、「自己流ツェッペリンシリーズ」さ。 僕の得意の作曲技法としてそういうのもあるわけ。 ツェッペリンといっても、いろいろあると思うんだけど、 僕はあの「Presence」というアルバムにえらく影響を受けていてね、あの曲に入っていたようなハネたリズムのギターリフの楽曲が、えらく好きなんだ。それらをはじめとして、ツェッペリン全般の影響に、自己流の解釈で、キャラクターなどの味付けをして仕上げたサウンドを、僕は自分の流儀として持っていて、この曲はそのひとつさ。 この曲はうまくいってると思うよ。 不器用ながらも特有のキャラクターを放つ魅惑のハイトーンヴォーカル、 完璧なギターサウンド、グルーヴするベース、 超ビッグなサウンドだ。マーシャルのアンプを買った甲斐があった(笑) ドラムは打ちこみとはいえ、ツェッペリンのバンド・マジックを一人で再現する男と呼んでほしいね(笑) 間奏、ギターソロがまた目玉だね。テルミンみたいな変則的なうねうねサウンドなんだけど、これはコンパクトエフェクターのフランジャーを強めにかけることによって得たサウンドです。これも得意の持ち技のひとつでね。「Kodomo Metal」収録の「個性」でも使ったよ。
ゆうじろう:次は、5曲目で「花弁」
Tone:この曲はインストですね。アコースティックギターの。でも実はアコースティックギターでもなんでもないから、「アコースティックギター風のインスト」が正しい。演奏はたいして上手くないけどね(笑)この曲は単なる情景だね。何も言わず感じてくれればいいんだけど、幼い頃の記憶にある、春先のあたたかな日差しと光を表現したかったんだ。 使用した楽器は、エレクトリックギターに、BOSSのアコースティックシュミレーターをかけたものだよ。この頃僕はまともなアコースティックギターを持っていなかったしね。でも、このエフェクトは結構便利で、ケースによっては本物のアコギよりも便利だったりぴったりくることもあるから、僕は結構使ってるんだ。前作の「Garden Of Gods」でも何箇所かでサイドギターに使ってるし、この「Prototypes」でも「You're My Love」で使ってるでしょ? それから「Kodomo Metal」の「暁」とかでも使ってるし。エレクトリックギターのクリーントーン的な使い方ができるんだ。
ゆうじろう:じゃあ、次、6曲目の「You're My Love」ね。
Tone:この曲は説明するのが難しいな。必ずしも成功してるトラックじゃないしね。 でも同時にそれは特別な曲だってことだよ。 あのね、'98年の夏のまっただなかのことだったのね。 夢を見たんだ。 僕は、どこか知らない街にいた。どこかの街だったけど、そこが地球でないことはすぐにわかった。そして、通りには、たくさんの人がいた。何万人という群集だ。人々は、街の真ん中の広場みたいなところに集まっていた。そこには、おおきなステージがあって、見ると、シンガーが歌っていた。群集も歌っていた。街には、どれだけいるのかわからないくらいの群集、人。街中が歌っていた。そして、目が覚めた。 僕は、それが忘れられなくてね。 目が覚めて、夢の中で聞いたメロディを思い出して、曲にしてみたんだ。 等身大の僕が歌うには、スケールが大きすぎて無理そうだった。 でも、僕は、あえてやってみようと思ったんだね。 そして、レコーディングするにあたって、シンセのイントロをつけて・・・・ このシンセのイントロの後に、シンプルなこの曲が来るというこの構成は、結構不思議だと思うんだけど、 このイントロはね、旅を意味しているんだ。遠い宇宙の旅、次元の旅、時空の旅をして、そして今この星、この町に辿りついた。そして君とめぐりあった、っていうような、ね。 あんまり説明してもしょうがないかな。それぞれに想像してもらうしかないね。 で、歌自体は、タイプ的にも、スケールが大きすぎて、はっきりいって僕には歌いこなせてない。でも、等身大でいいから今はやってみることが大事なんだと感じて、飾らない等身大の自分で歌ってみたんだ。 これは僕の等身大の愛の歌さ。 こんな曲はそれこそエルヴィスとかシナトラとか連れてこないと歌えないよ。 ていうか、あのとき見た夢が、天国でのエルヴィスのコンサートだったってことに、ずいぶん後になって気づいたんだよね。だって、この曲もちょっとエルヴィスの有名な曲に似てるだろ? きっと僕は天国でのそのプレミアコンサートを見ることができたのさ!
ゆうじろう:僕はゆうれいだから知ってるよ(笑)天国でもエルヴィスのチケットはなかなか取れないっていうのに(笑)ミュージシャンの招待枠かな。 それはともかく、次は7曲目「今君に会いたいよ」
Tone:この曲は確か'96年に作った曲で、「Garden Of Gods」収録の「MONOゴコロ」とほぼ同時に作った兄弟曲でもある。個人的な憧憬というのか情感のこもった曲だから、いつか録りたいなと思っていたんだけど、2003年にそのチャンスが訪れた。2003年の夏から秋にかけて、僕はヒッチーと一緒に「House Juku-Shiki」に引っ越そうかという頃、もうすぐバンドでの本格的な活動が始まるのを見越して、その前に一人制作、ソロワークスの最後の作品を録ろうと思ったのさ。リズムギターに関しては、引っ越す前の東村山の部屋で録ったと思う。他のパートは、すべて引越しした後の「Studio Juku-Shiki」で制作して仕上げたね。8曲目の「前途洋々」も同じさ。 で、この「今君に会いたいよ」は、まったくの農耕ソング(笑) 農耕ソングって言っても意味がわからないんだけど、 日本ならではの、まぁ地方なんだけど、田んぼが広がって、お米を作ってる、っていう、そんな日本の地方の田舎の場景なんじゃないかと思わせるような。 都会的な曲じゃないことは確かさ(笑) 歌詞もノスタルジーと過ぎ去った後悔をテーマにしたラヴソングだけど、日本的な情緒をもった楽曲だしね、ぜひ形にしておきたかったんだ。僕の好きな「素朴な田舎の」現代日本さ。 そしてそこに流れるエモーションはもちろん「Transparent Sound」の登録商標付き(笑)
ゆうじろう:「農耕ソング」ってのは新しいかもしれないね(笑)
Tone:そんで「前途洋々」に関しては、これもタイトルから一目瞭然でわかるとおり、さっきの「前途多難」の兄弟曲なんだ。曲を書いた時期も近い。テンポの速さは違うけど、リフが似てるだろ? それで、これも当然「自己流ツェッペリン」シリーズさ。ヴォーカルのキャラクター、ギターリフの押し、放任主義なビート、そんで責任をまったく取らないギターソロ(笑)「前途多難」と対をなす、必殺の力作なんじゃないかな。バンド形態のライヴでも何度か演奏したよ。
ゆうじろう:OK。これで全曲の解説が終わったね。さて、もうひとつ聞いておかなくてはいけないことがあった。前回言ってたことを覚えてるかな。それは「イマリ・トーンズ」っていうバンド名の由来・・・・・確かこの名前を思いついたのはこのアルバムを制作した時期だって言ってたね?
Tone:うん、このアルバムが完成した後だね、記憶に間違いがなければ。 この奇妙なバンド名については説明が難しいし、自分でも悩んできた(笑) 前作のインタビューでも語ったとおり、このImari Tonesっていうのは僕がハニーちゃんに出会ったことによって、生まれてしまった芸術形態であって、選択することになった運命なんだ。彼女に出会っていなければ、イマリトーンズの、あの曲も、この曲も、生まれていなかった。僕は自分のハイトーンヴォーカルを開発することは一生なかっただろうし。高校時代に作った楽曲群「Imari Classics」だって、彼女に出会ってから作ったものがたくさんあるから、そういう意味でもやっぱりImari Tonesという概念は、ハニーちゃんに出会ってなければほとんど存在しなかったと断言できると思う。 だから僕は、その芸術に、彼女の名前をそのまま付けることにしたのさ。 "Imari"っていうのは、ハニーちゃんの名前のことさ。 それが自然なことだと思ったんだ。
ゆうじろう:そうだったのかー! って、知ってるけどね(笑)関係者だから(笑)
Tone:最初は、単純にそのまま「Imari」と名付ければ美しいと思った。でも、それだとなんだかバンドらしくないなーって思ってるうちに、いつのまにかうしろにTonesという言葉がついてしまった。つまり、「イマリの音色」と。そんで、他にしっくりくる名前を思いつかなかったんで、なんとなくその名前を使って、そのまま定着してしまった。言葉の響きやスペルなんかはね、特に、バンド活動とかして、他のバンドは、売れそうな名前とか受けの良さそうな名前をみんな掲げて活動してるしね、イマリトーンズなんて奇妙な名前だよなーとはいつも思ってきたし今も思ってるんだけど、でもね、この名前って、たとえば海外に出たときなんか、すごくいい名前だなって思うんだ。Imariっていうのは陶磁器、つまり伊万里焼きのことを意味して、それはつまりChinaが中国の陶磁器をあらわすように、日本という国を象徴する言葉なんだ。だからイマリ・トーンズ、というのは、外国に行って英語で発音したときには、「日本の音」というような意味になるんだよ。それってとても美しいことだな、と思ってね。考えてつけた名前じゃないけど、たぶん、これも必然性のある名前なんだろうと思っている。
ゆうじろう:Imari=Japanってことね。きれいな言葉だよね、イマリ、って。
Tone:バンド名についてはいろいろ言い訳もしたいんだ。僕はそもそも、理想のバンド名っていうのは、意味のない固有名詞がいいと思っていた。なにか意味とか理由やいわくがありげな、小難しい名前はイヤだと思っていたんだよ。人が小手先で考えた概念っていうのは、限定されてイヤだったからね。だから、何の意味もなく、最初からこれでしかなかった、というような固有名詞こそが理想だと思っていたんだ。ほら、Van Halen、とかさ、Bon Jovi、とかさ、よく意味わからんなと思ってたらただの苗字じゃん(笑)そういう、ただそこにあるような必然の名前が良かったんだ。そういう意味でもね、このイマリ・トーンズ、という名前は良かったんだよ。考えて思いついた名前じゃないからね。あとは日本的な名前で伝統を感じさせる名前が良かった、とか、結構条件はそろってたんだよね。
ゆうじろう:確かにあまり他人が考え付くような名前じゃないものね。
Tone:あとはね、僕の通称になってるこのハンドルネームについても説明しておきたい。 このTone、トーン、ってのは、始めて僕がパソコンでインターネットをやったときにハンドルネームで使ったのが最初なんだけど、これも、他になかった、ていうか、これしかなかったんだよね。これになってしまったというか。 名前についてはまたこれが言いたいことがあって、そもそも僕はタカヒロっていう名前をつけられてるんだけど、両親がね、僕に名前をつけるときに、最後まで悩んだ2つの候補があったんだって。ひとつはタカヒロ、なんだけど、もうひとつは「ヒビキ」っていうものだった。「響」、ね。ほら、両親も音楽畑の人だからさ。で、今僕がリクエストできるんならそりゃもちろんヒビキの方にしてくれよって感じなんだけど、親父はそこで保守主義根性出しやがって無難なタカヒロの方にしやがったのさ。 それに関して僕はずーっと恨みを持っていてね(笑) そんなこともあって、僕は、ハンドルネーム、名前、なんて言ってきたときに、自然に、音色、サウンド、楽器のトーン、なんてことを考えて、"Tone"、としてしまった。漢字を当てれば、"透音"なんてしてみて、そう僕の得意とする「Transparent Sound」ですよ、って。しかもTone、って、Takahiro Nakamineって書いたときに、名前と苗字の最初と最後の文字を取ると見事にTONEになるでしょ? これはいいってんで、これになっちゃったのさ、僕の中で自分を表す言葉は。 しかも僕とハニーちゃんが出会って生まれた音楽、ImariとToneでImariTones、っていうのも、つじつまがぴったり合うしね。なんか恥ずかしいんだけど(笑)でもやっぱ必然なんだろう、と。 はじめはネットの上でだけ使われてた名前だったけど、今ではみんな僕のことを「Toneさん」とか「Toneくん」って呼ぶしね。自分でもしっくりきてる。これからもトーン、で呼んでくれよ(笑)
ゆうじろう:OK。話が長くなったけど(笑)名前についてはそのくらいでいいかな? じゃあ最後にまとめてもらおう。
Tone:この、Imari Tonesとしては2つめにあたる作品、「Prototypes」は、はっきりいって通好みです。そして素朴で純粋な持ち味があります。心のキレイなあなたは、聞いてみてクダサイ!!
ゆうじろう:じゃあ、今回はこれでお開きってことで。
(2005年5月記述)
END
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