ゆうじろうインタビュー  「Through The Garden Of Gods」

 

 

                

 

 

 

ゆうじろう:ぱっと、出た、僕はゆうじろう。

 

 

Tone:なんなの、いきなり。

 

 

ゆうじろう:これから、さすらいの音楽家、Imari TonesのToneことナカミネタカヒロくんに、作品について語ってもらいますよ。とりあえず、これはその第1回目だ。

 

 

Tone:その前に、君は誰なのか説明してよ。

 

 

ゆうじろう:僕の名はゆうじろう。Toneが13歳のときからToneに取り憑いてるゆうれいで、彼と青春を共にしてきた。そして、彼が高校の演劇部で書いた「Missing」っていう脚本の重要な登場人物でもある。ちなみにその脚本は評価されて、その年の演劇部は県大会にまで出場したんだぜ。Toneは高校の頃、僕をモチーフにした小説をいくつか書いていた。その「ゆうれいゆうじろう」の主人公は、あのSMさんがモデルだったよね。

 

 

Tone:いきなりSMさんとか言ってもわからないから。

 

 

ゆうじろう:SMさんというのは、Toneの初恋の人でして、とはいえこの人ほとんど恋ってしないから、ほんとに生涯一度か二度かってくらいなんだけど、大人になってみれば、何故だか彼女もミュージシャンになってました。音楽に縁がある人だと思わなかったのにね。名古屋あたりのインディーズシーンでは結構有名で、「エレポップの歌姫」とか言って売り出してるとか、いないとか。ともあれToneとしては、思春期時代に、彼女の存在もひとつの大きなきっかけとなってギターを持つに至ったはずなのに、その彼女がこうして自分の琴線に触れるような音楽をやっているという事実が、ただごとでは無いわけだ。

 

 

Tone:まいっちゃうよね。でも、僕に昔から取りついていたかなんだか知らないけど、どうしてゆうれいなんかが僕の音楽についてインタビューをすることになったわけ?

 

 

ゆうじろう:君が人生をかけて取り組んでいる、このイマリトーンズっていう音楽について、きちんとした質問をできるのは、僕しかいないんだよ。今に始まった仲でもあるまいし、照れることないだろ? じゃあいってみよう。ゆうじろうインタビュー、スタート!!

 

 

Tone:いや、勝手にスタートされても。

 

 

ゆうじろう:今回は、Imari Tonesとして記録されている最初の作品、「Through The Garden Of Gods」とういアルバムについて聞こうと思ってるんだけど、その前に、最初ってこともあって、もっと根本的なところから聞いておきたいんだ。

このImariTonesっていうのは、いったい何? そんで、いつ頃から始まったものなの?

 

 

Tone:イマリトーンズって何ってことに関しては、そうだね、今この話をしてるのは2005年の春で、そんで今だから言えることってのもあるんだけど、まずイマリトーンズっていうのは、ナカミネタカヒロという一人の人間を中心とした、ひとつのロック音楽のプロジェクトです。バンドと言ってもいいかもしれないし、ユニットだったりするかもしれない、そんでもちろんソロプロジェクトでもある。そうした形はわからないけど、とにかくその中心にはナカミネタカヒロていう一人の人間がいる。そして、彼は、ロック音楽を、ただの偶発的なパーティーじゃなくて、一人の人間の一貫した人生の表現として築き上げていきたいと考えているんだ。

 

 

ゆうじろう:人間性の表現ってことね。

 

 

Tone:そうね。いつも思ってたんだよ、ロックっていう表現や、ロックバンドってものについて。それは、あまりにも芸術以外の要素というか、芸術という要素とは関係ないところによる制約が多いことに、少年の頃から疑問は持っていた。それで、まぁ成り行きなんだけど、僕は、ロックという表現を、たとえば小説家とか、画家とか、彫刻家みたいにできないもんかなぁ、と思ってしまったわけだ。まぁ、それも良し悪しだと自分でも思ってるんだけどね。

 

 

ゆうじろう:画家はプロモーションビデオを作ったりしないものね。

 

 

Tone:イマリトーンズが、いつから始まったのか、ということに関しては、僕もはっきりとは答えることはできない。録音制作を始めたっていうことでいえば、Studio Pelを作った、1998年のことだといえるかもしれないし、バンドとして完全な実体を得て活動したのでいえば、やっと2003年の11月のことだったし。

でも、たとえばもっと昔から、それはあったんだよね。

僕の音楽的な原点になっているのは、高校の時に書いた、120曲くらいの楽曲なんだ。

それらの楽曲群のことを「Imari Classics」(イマリ・クラシックス)って呼んでる。

高校の時僕はもちろんバンドをやっていて、根っからのギタリストだったけど、もちろんそれらの楽曲も少しはやったけど、本格的にそれらの楽曲を発表することはしなかった。しておけばよかったと思うけどね(笑)あんまり話すとただの青春時代の回顧録になっちゃうからやめとくけど、高校時代、すでに僕の中には楽曲がたくさんあり、独自のロックンロールや芸術に対する哲学も完成していた。つまりImari Tonesの「もと」はすでに存在してたんだ。ただ、ミュージシャンになろうとかそういうことは考えてなかったけどね。まだ世の中のことも自分のこともわかっていなかった。僕は人格のバランスがひどく偏っていたからね。

 

 

ゆうじろう:確か君は学生時代、結構優等生で、法律家になろうと思っていたんだよね。実際に大学の法学部に入学してるし。

 

 

Tone:そうね。高校時代、そうした音楽や芸術、ロックに対する哲学といえる確固としたものが自分の中にできあがっていたにもかかわらず、僕はいわゆるプロのミュージシャン、とかピンと来なかったんだな。なんか、違う気がしていた。もっと、楽器を鳴らすだけじゃなく、ロックは、生き方だと思っていた。楽器を持たなくても社会の中でロックできると思っていた。ちなみに僕は愛知県のとある地方都市の出身だけど、たとえばこれが東京の人間だったら違ったのかもしれないけどね。もっと高校の頃から中途半端でなく、本当にバンドを始動させてたかもしれない。

 

 

ゆうじろう:また君の青春時代の話も聞きたいけどね。

 

 

Tone:機会があればね(笑) ともあれ、ImariTonesのスタートの話さ。

さっき、1998年とか、2003年11月とか、具体的な数字を言ったけど、もっと決定的に、Imari Tonesというものが誕生した数字を挙げるとすれば、それは1995年なんじゃないかと思うんだ。何月、とかはにわかには断定しづらいんだけど。

1995年っていうのは、僕がハニーちゃんと出会った年なんだ。そうか、あれから10年になるんだな。

 

 

ゆうじろう:1995年ていうと、君が高校3年生の年?

 

 

Tone:そうだね。その年に、ハニーちゃんと出会って、いつ頃だったかな、1995年の終わりかな、1996年が明けてからかな、よし、この子と一緒に生きるんだ、って決心した、腹をくくった瞬間があったんだ。その時かな。まぁいいや、わかりづらいから、1996年の3月。高校の卒業式の際。僕らは演劇部の仲間に牧師の役をやってもらって、僕らだけの結婚式を挙げた。馬鹿馬鹿しい話かもしれないけどね。でも、それからもう10年近く二人の関係は続いているんだ。その辺の夫婦よりはマシなんじゃない?(笑)まぁともかく。そのときをもって、イマリ・トーンズの誕生としてしまっていいんじゃないかな。うん、そうしよう。

 

 

ゆうじろう:仲間たちに挙げてもらった結婚式ね。いい話には違いないけど、それがImari Tonesの誕生とつながる理由は?

 

 

Tone:たぶんおそらく確実に、ハニーちゃんと出会っていなかったら、僕はこれほど音楽に身を捧げることにはならなかった。大学でもきちんとエリートコースから外れることなく、もうちょっとまともにこの社会に巣立つことができていたと思う(笑)後悔は無いけどね。僕にしかできないことを選んだわけだから。これは僕が好き好んでなったことじゃないんだけど、ハニーちゃんと一緒の人生を選ぶということは、自分の中にある哲学やかけがえのない答えを、信じることでもあったんだ。だけど、それ自体が、もうすでに型にはまった人生のレールのようなものからはみ出ることを意味していたんだ。好むと好まざるとね。だから当時の状況は、彼女を捨てて社会のエリートコースを行くのか、それとも彼女と一緒に生きることを選んで社会のレールからはみ出すのか、っていう2者択一だったのね。で、僕は後者を選んだと。大方の場合、レールからはみ出したものに対して、この国の社会がどんなに冷たいかってこととか、当事者になってみないとわからないことだと思うけど、まぁ。状況によっても違うだろうし、今はどうなのか知らないけど。

 

 

ゆうじろう:苦労したものね。少なくともそれなりに。あの時期は僕とも交信が途絶えてたね。ゆうれいと話してる場合じゃなかったらしく(笑)

 

 

Tone:まぁこれは音楽とバンドに関するお話だから、そのへんは省くんだけどさ。軽く説明すると、あの頃僕を襲った重圧というのは、社会的な重圧、と、精神的な重圧、ということになるけど、特に精神的な重圧に関しては、単にハニーちゃんと離れている苦しみだけでなく、もっとこの社会全体の矛盾に立ち向かっていくような質のものだったと思う。だからこそ、精神的には結構タフというかへこたれない自信のある僕でさえも、普通ではいられなかったからね。僕はあきらめなかったし、重圧に潰されはしなかったけど、それでも完全に精神は病んでいたから。

 

 

ゆうじろう: 辛い時期だったよね。

 

 

Tone: うん。辛かったね。そんな、生きているだけで精一杯なときに、そんなときにも、音楽はやはり唯一の支えであり、陳腐な言い方になってしまうんだけど、唯一の希望であり生きる手段だったんだよね。その「重圧」と戦うための手段だった。プロとか金を稼ぐとかそういう次元じゃなく、「生きのびる」ための手段だったんだよね。

当時ね。ちなみにハニーちゃんは年は僕より二つ下なんだけど、僕は、大学どころではなかったのと同様に、バンドどころでもなかった。ハニーちゃんと出会ってなかったら東京で、大学で、おもいっきりバンドやろうと思ってたんだけどねー(笑)予定が狂ってさ。バンドやるとかそういう場合じゃなかったし、そんなことを思いつく精神状態ですらなかったし。

 

 

ゆうじろう:大学では皆がキャンパスライフやってたんだけどね。一応在籍はしてたし、時々行ってはいたけど、まるで違う世界みたいだったよね。籍だけ置いてるだけで、君はまったく違う世界に住んでた。

 

 

Tone: まぁそんなこと言ったら、もっと小さな頃から、僕はこの国この世界に住んでる実感なんて無かったけどね(笑)

ロックンロールに対する信念や芸術と宇宙に関する哲学をはじめ、僕の中にはそういう要素が詰まっていた。でも、こんな僕にもこの国の社会でまっとうにやっていく道はあったと思う。それが、ハニーちゃんに出会って、彼女と一緒の人生を、自分のすべてを賭けて選択したことで、決定的にその枠からはみ出してしまったということさ。辛いことだったけどね。で、いろいろあって、苦しかった何年かの間にも、僕は、唯一自分が「生きる」ための術である音楽とロックミュージック、それに対する企みをあきらめなかった。バンドをやるなんてことは当時の状況では無理だった。それでも、当時発達してきていたコンピュータによるレコーディング制作のことを知ったり、密かにヴォーカルのトレーニングを積んだりして−僕はギタリストだったからね−、そして'98年春、実家の音楽室に、まぁ音楽室なんてものがあるのもちょっと普通じゃないと思うんだけど、ともかくそこにコンピューターを中心としたレコーディングシステムを構築したわけだ。

1998年。まだ僕ら二人には、未来の希望もほとんど見えてない時期。どういうふうに生きていったらいいのかもわからなかった。でも音楽というものがあったから、僕は生き延びてここまで来ることができた。今は確実にそう言うことができる。でも当時は本当に暗い気持ちだった。そして、その暗い気持ちの中で、希望を探すように、必死な気持ちで手探りで制作したのが、この「Through The Garden Of Gods」なんだ。

 

 

ゆうじろう:Imari Tones としての最初の作品だね。やっとその話に辿りついた。

 

 

Tone:作品を作ろうなんて気持ちはなかった。当時はまだImari Tonesという名前も無かった。録音制作した音楽でどうしようなんて気持ちも無かったよ。どういうつもりで音楽を制作するのかもわからなかった。ただ、純粋に音楽に向かうしかなかったんだ。当時の僕は。それだけが、自分の心を殺されずにいられる方法であり、希望だった。たった一人だけでの制作だからね。他の楽器は自分で演奏できるとしても、ドラムトラックはMIDI音源による打ち込みに頼るしかない。そんな音楽で何かをしようとか勝負しようとかは思ってなかった。ただ、純粋に、芸術として恥じないものを作ろうと、その気持ちだけは必死であり、本気だった。たとえ世に出なくてもいい。こうして今一人で、芸術というものに向き合うことになった以上は、一人の人間として、この僕が習得したロック音楽というもので、個人のすべてを表現してみよう。僕は、このとらえどころのないロック音楽というものを、一人の画家や小説家、彫刻家のように、人間としての芸術表現として昇華してみたいと思ったんだ。僕は、その自宅スタジオに、実家で飼っていた犬の名前をとって"Studio Pel"と名付けた。Imari Tonesの創作活動は、こうして始まったんだ。そしてこの"Studio Pel"において、僕は1998年〜2001年までの間、ロックンロール研究の卒業論文のような、4枚の作品を作ることになる。僕は大学には籍こそ置いていても居ないような状態だったけど、このStudio Pelでの録音制作こそが、僕にとっての"ロックンロール・ユニヴァーシティ"だったと言える。

 

 

ゆうじろう:だいたい大学の在学期間と重なっているものね。

 

 

Tone:1年留年してるんだけどね(笑)まぁ冷静に分析すれば、実家の音楽的な環境の良さや、何故だか防音の音楽部屋までが完備してあったりした状況なんかも、非常に恵まれていたといえるんだけどね。具体的には大学の夏休みなどの休暇中に実家に戻ってきて制作していたりしたわけさ。ま、いろいろあったんだけどそれは語る必要はないと思うし。1998年か・・・。この頃はまだ、ハニーちゃんはウチの実家の敷居をまたぐことは許されてませんでしたね(笑)

 

 

ゆうじろう:なんだか複雑そうだね。

 

 

Tone:まぁ別にいいんだけどね。ともあれ、バックグラウンドの説明も結構済んだと思うから、具体的にアルバムの解説に入らせてよ。あ、そうだ、ひとつ忘れてた。このImari Tonesっていう奇妙なバンド名の由来と、そうなった経緯。これを話さなくちゃいけなかったね。でも、長くなっちゃったし、それは、次の「Prototypes」のときに取っておいていいかな。時期的にも、「Prototypes」の頃だしね。このイマリ・トーンズ、なんていう名前が出てきたのは。

 

 

ゆうじろう:OK。そうしよう。

 

 

Tone:じゃあ、解説に進もう。「Through The Garden Of Gods」、この作品は、1998年の夏に作られたものです。ただし、「涙の雨を走り抜けて」と「幼心のエチュード」の2つのトラックは、2001年に録ったものを、追加で収録したものです。

1998年。それまで、カセットMTRくらいはいじったことがあったけど、本格的なレコーディング制作なんぞ初めてだったわたくしToneは、レコーディング作業も不慣れで拙く、たとえば録音した楽曲のミックスのデータを保存するやり方すら知らない有様でありました。それがゆえに、このときのレコーディングのトラックなどのミックスデータは残っておらず、録音の修正ややりなおしなんぞはその後一切できませんでした。録音も、演奏面のパフォーマンスも、不完全な部分でいっぱいです。使用してる機材もまだまだチープだしね。

とはいえ、そこはImariだから、悪い作品では全然ないけどね!(笑)

 

 

ゆうじろう:自信は常にあると(笑)

 

 

Tone:そう(笑)。この作品は、さっき話したように、暗い状況、暗い気分の中で作られた作品ということもあって、雰囲気が結構暗いのね。でも、それゆえ、インディーズ的な、ロックに特有の暗く湿った、刹那的な雰囲気が漂ってて、それがこの作品の特徴さ。まだ16ビット録音だった、独特の音質の悪さも含めてね。そして、その暗くたちこめた雰囲気の中、必死で希望を探そうとする、その姿が、このアルバムのテーマさ。

 

 

ゆうじろう:アルバムタイトルの由来を教えてくれない?

 

 

Tone:Through The Garden Of Gods、ね。神々の庭園を抜けて、なんだけど、最初の曲「邂逅」に、神々の庭園を駆けてゆく、ってフレーズがあるだろ? そこからきてはいるんだけどね。これも当時の状況や暗い気持ちを反映してるんだけど、これはね、決意の意味でもあり、挑戦の意味でもあるんだ。神々、運命への挑戦。まぁ神さんとケンカすることってのはあまり無いかもしれないけど、人間、運命にケンカを売る、運命と戦わなくてはいけないことは人生の中であると思うんだ。神々への挑戦、神々への反逆。人間はね、運命や神々に逆らってでも、自分の選んだ道を生きようとするものだと思うんだよ、そういう意味のタイトルさ。

 

 

ゆうじろう:重いタイトルだね(笑)

 

 

Tone:そうだね。まったく、イマリトーンズ、制作の1作目からして、ずいぶんと重く暗いテーマから始まってしまったもんだよね。これってImariらしくないよね。2005年の今だから言えることだけど、イマリトーンズのファーストアルバムは、やっとこさバンド編成で制作した、2005年春の「Hero Of The Lights」だと思っておくれよ(笑)その方が座りがいいよ。ファーストアルバムらしくフレッシュで勢いがあるしさ(笑)

 

 

ゆうじろう:ファーストアルバムがいつも最初に出るとは限らないんだぞ、ってね(笑)

あと、アルバムのジャケットについても解説してほしいんだけど。ずいぶんきれいなジャケットだよね。一面にコスモスが咲いている景色が、遠くまで続いていて。

 

 

Tone:これはね、川崎のどこか・・・確か、新川崎とか鹿島田とかいう駅の近くのへん、記憶に間違いがなければ、そのあたりで撮った景色なんだ。確かに綺麗なんだけど、どことなく寂しげで、はかなさを感じる景色だろ。このジャケットは、アルバムの内容と、当時の僕たちをうまく表してくれてると思う。真ん中にコスモスが2輪、寄りそうように咲いているけれど、これが僕とハニーちゃんだと解釈してもらっても間違いではないだろうね。まぁアルバムの内容も、さびしげで、はかない感じなのさ。

 

 

ゆうじろう:OK。あとは楽曲解説かな。それが終われは終了だね。よろしく。

 

 

Tone:大変なんだけどね、楽曲解説。まぁ、ここで僕がちゃんと解説しておかないと、他にする人がいないからね(笑)やりますよ、ちゃんと。

 

 

ゆうじろう:1曲目、「予兆」

 

 

Tone:ただのイントロですね。インド風というのか、アジア風の。次の「邂逅」を導くイントロです。なぜこんなおどろおどろしいイントロで幕を明けるハメになったんでしょう(笑)。エレクトリックギターのクリーントーンを使っていますが、このシタール的な音は、なんとかいうフィルターのプラグインエフェクトを使用して出しました。

 

 

ゆうじろう:2曲目。「邂逅」。

 

 

Tone:暗いね〜(笑)。この曲は、ドアーズのハードロック版かな、という感じで思ってます。テーマは重いですね。その、神々への反逆者が庭園を抜けて逃亡する様を描いています。ヴォーカルワークとか、完璧ではないけどね。でも、破滅しそうな雰囲気がよく出ていていいんじゃないかな。

 

 

ゆうじろう:3曲目、「迷い子」

 

 

Tone:この曲は名曲だね。少なくとも佳曲だと思う。実は2004年のライヴ活動でも一度だけ演奏したことがある。The Stone Rosesみたいな曲を意識してるところもあるんだけど、全然似てませんね(笑)でも、比較的まとまりの良い楽曲だし、ギターの音といい、ロックな雰囲気が出せているんじゃないかな。この曲を聴くためだけにこのアルバム買ってもいいと思うよ。言いすぎかな。

 

 

ゆうじろう:言いすぎかもね(笑)次、4曲目、「鏡はいつでも嘘をつく」。

 

 

Tone:問答無用のキャンディポップソングだね。コメントの仕様がないよ。結構おもしろいメロディラインだと思うんだけど。ギターサウンドも有機的に古臭い音になってるし、結構気に入ってるんだけどな。自分ではビートルズぽいのかなと思ったけど、どうやら全然違ったようで(笑)歌詞は結構ポップでユーモラスで、めずらしくちゃんと考えた歌詞なんだけどね。その割には大したことないけど。人前で歌うと聞いた人は結構笑ってくれるね(笑)

 

 

ゆうじろう:次、5曲目、「Morning Rain -かたつむりの朝-」

 

 

Tone:この曲も名曲とまでいかないけど、佳曲だと思うんだけどなー。ゆったりしたテンポの曲で、寝坊することについて歌ってるんだ。いや、違う(笑)雨の朝のけだるい気分とその情景について歌ってるんだよ。ギターのリフが面白いと思う。それにともなうベーシックなバンドサウンドも。一度ライヴで演奏してみたいんだけどね。尺が無駄に長いけどさ。間奏部分の、謎の呪文が気に入ってる、ハマサラヤ、ハボキ、ハマカラヤ、サヌキ、って。何、それ(笑)

 

 

ゆうじろう:6曲目、「That's why I love you」

 

 

Tone:これは問答無用の失敗曲です(笑)それでも価値があると思うから収録してるんだけど。あとは、ええ、6曲目にしてやっと初のギターソロが出てくるのかよ!(笑)僕らしくないよね。ほんと、1作目にして、自分らしくない、イマリらしくないことが多いね。それだけ、暗い状況だったってことなんだけど。

えっとね、このタイトルの「That's why I love you」ってのは僕の好きなVan Halenのボツ曲から来ています。'98年に「Van Halen 3」ていうアルバムが出る前に、雑誌に収録曲のタイトルが載ってたので、実際に音を聞く前に、そのタイトルだけで想像して、アルバム1枚分曲作っちゃったの(笑)結構本物に近かったのもあったんだよ(笑)そんで、アルバム出てみたら、この「That's why I love you」ってタイトルの曲はボツになっちゃててさ、入ってなかった。で、せっかくだから自分で演奏することにしたわけ。

まぁそういう曲なんだけどさ、この当時は経験もなかったし、ズバリ言うと失敗してるわけさ。だいたいがヴォーカルのキー高すぎるし(笑)Van Halenイメージして作った曲だからさ、ヴォーカルのキーはサミー・ヘイガーに合わせて作ってあるのね(笑)そんなの僕が歌えるわけないもん(笑)でもこの時は必死でやっちゃいました。

曲の内容はすごく愛や運命や孤独に関しての曲で、思い入れもある大事な曲なんで、いつか録りなおししたいと思ってたので、この曲は2005年の「Hero Of The Lights」にて録りなおしてます。ヴォーカルのキーも変えて(笑)

だからこの曲に関しては、ちゃんとしたのが聞きたければ「Hero Of The Lights」を聞いた方がいい(笑)

でも、キレイに制作した「Hero Of The Lights」のバージョンよりも、こちらの'98年バージョンの方が勝ってる点もある。それは、気合、と、必死さ、それと刹那の重さ、かな。あとはキーを変えたぶん、「Hero Of The Lights」ではギターの音づかいも違ってきてるしね。ギターの響きのエモーションとかは、こっちの方が勝ってるかもしれない。

 

 

ゆうじろう:重みのある曲だものね。

 

 

Tone:うん。めんどくさいけどこの曲についてはもう少し語らなくてはいけないのかな。この曲は、逃げ出すことのできない、人がそれぞれ抱えた運命というものに、僕にとって愛とか恋とかいうのはそれだけのものではなくて、もっと大きな、運命の必然を含んだ重力であり、その選択で、まぁともかくもこの曲は一人一人が抱え込んだ運命というものと、その運命に向き合うことの孤独や葛藤をテーマにした曲・・・・・のような気がする(笑)この辺で限界です(笑)

 

 

ゆうじろう:じゃあ、次、「MONOゴコロ」

 

 

Tone:この曲は名曲だぜ。断固主張するよ(笑)だいたいタイトルからして秀逸じゃないか。MONO=ひとつの心、という意味と、ものごころ、というダブルミーニングになってるしね、なにげに。ヴォーカルがピッチチェンジによる「チビ声」になっているというのが変則的なんだけど、この曲は、タイトルのとおり、幼少時の記憶や感覚といったものがテーマになっていて、さらにその頃から一貫して存在する意識や愛といったものが主題になってるんだけど、繊細なギターワークが、そのエモーションをうまく描き出してるじゃないか。僕の他に、誰がこんな曲を作れる?って感じさ。この曲は、実は、レコーディングシステムを導入して、はじめに練習で録ってみた曲なんだよ。失敗してもいいように、練習台として変則ヴォーカルのこの曲を選んだ。そしたらなんだかうまくいっちゃったってワケさ。

 

 

ゆうじろう:次、「Must Be....」

 

 

Tone:間違いなく名曲だよ。ただ、これも必ずしも成功したとは思っていないテイクでね。「That's why I love you」同様、この曲もいつか再挑戦して録りなおしたいと思っていた曲なんだ。それで、この曲も「Hero Of The Lights」に、その再録音したバージョンが入っています。きれいなテイクの、きちんとしたバージョンが聞きたい人はそっちを聞いてください。ただ、「That's why」同様、この曲も、この'98年の録音の方が、情感や、刹那の重み、等、目に見えない部分で、勝っている部分がある。結構ね、この「Through The Garden Of Gods」を通して、そうした音の奇跡は、結構起きているんだよ。完璧でない部分はあったとしてもね。

ともあれ、この「Must Be....」、生きることに感謝する曲だ。

この曲にはエモーションが溢れている。この透明なエモーションの洪水は、「Transparent Sound」って言って、Imariの得意とする音作りのひとつなんだけど、この曲は、苦しい状況であっても、たとえば死を覚悟するような状況であってもね、そんな中だからこそ、生きていることのかけがえのなさを知ることができる、生きていることすべてに感謝をしよう、という、すべてを肯定する、そんな曲なんだ。メロディもポップだし、テンポは速いけど、Imariの曲の中ではバラードタイプの曲に分類してもいい曲かもしれない。間奏の部分がとてつもなく美しいんだ。ぜひ聞いてみてほしいよ。

 

 

ゆうじろう:OK。次はインストの「I will live」

 

 

Tone:ややこしいインストだね。別にギターのテクニックを披露するタイプのインストじゃなくて、単純にギターのバッキングが曲の骨格を構築するタイプのインスト。妙に暗いし、変わった曲だと思う。でも僕は気に入ってるな。この曲も、さっきの「MONOゴコロ」とおんなじで、MONOゴコロと同時に、レコーディングの最初の練習台として作った曲なんだ。こういうのも悪くないだろ?どうかな?

 

 

ゆうじろう:次、「涙の雨を走り抜けて」。

 

 

Tone:来たね、実はこのアルバムで一番の目玉が(笑)この曲は、最初にも言ったとおり、'98年に録音したものではないんだ。2001年に録音したものを、後から追加収録したものだ。2001年にはたくさんの曲をレコーディングしてね。「Entering The New World」は15曲入りのアルバムになったけど、実はそれ以外にも入りきらなかった曲があってね(笑)で、ちょうど雰囲気も合うし、こっちのアルバムに入れちゃえ、ってことでこの「Garden Of Gods」に入ったってわけだ。

  この曲はすごいよ。なにせImariの曲の中ではいちばんヴィジュアル系に近い曲でね(笑)ピアノが綺麗な曲なんだ。Imari Classics、つまり高校時代に作った曲のなかのひとつなんだけど、確か18歳、高校3年生の夏か秋に作ったのかな。あまりにもなんつーか'80年代アイドルポップスとヴィジュアル系を混ぜたようで、どうかな、と思うんだけど、意外と今聞いても悪くないんだよね(笑)やっぱピアノと、あと、アイドル歌唱をしてるナカミネのヴォーカルね(笑)

ギターソロがね、また楽しいんだな、いかにも日本的なヴィジュアル系バンドのギターソロをイメージしててさ(笑)まぁこういうのも、いいんじゃないの、たまには(笑)

 

 

ゆうじろう: で、最後の「幼心のエチュード」

 

 

Tone:これも「涙の雨を走り抜けて」と同様、2001年に録ったものです。

曲っていうほど堅苦しいトラックじゃないけどね。ボーナストラック的なニュアンスだよね。一応これも「Imari Classics」に属する曲で、これも高校3年の夏に作ったピアノ曲なのね。とってもシンプルなかわいらしいピアノの練習曲みたいな小品で、これをバンドサウンドにアレンジした「幼心のファンク」っていうのもあるんだけどね、いつかまたきちんと録音しようと思ってるけど (2005年夏の「無責任なメシア」にて収録)。まぁともかく、ハニーちゃんとの会話もそのまま収録されてるしね。いかに適当にレコーダーを回して録ったか、ていうのがわかるよね。でも、その空気も記録されてるのが貴重なんじゃないかと。あとは、こんな簡単な曲なのにつっかえつっかえ弾いてるのが微笑ましいね、ていうか、ヘタクソ!と(笑)

 

 

ゆうじろう:さて、これで全曲終わったね。お疲れさま。最後にまとめを。

 

 

Tone:そうね。この「Through The Garden Of Gods」。非常に重く暗いアルバムですが、最初に言ったように、クオリティ的にも決して完璧な作品じゃないところもあります。ぶっちゃけ、初めてImariを聞くのであれば、他のアルバムから聞いた方がいいと思う(笑)このアルバムには、他と比べても、大量のエモーションが込められているし、そうした情感にあふれた名曲もいくつも入っているんだけど、それでも、その不完全ではかない「痛み」を、一緒になって味わうアルバムだと思うからね・・・・。

 

 

ゆうじろう:知らずに聞くと、痛い目にあうぞ、と(笑)

 

 

Tone:そうね。じゃ、そんなこんなでお開きにしましょうか。アーメン。

 

 

(2005年5月記述)

 

 

 

 

 

  END

 

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